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永遠平和のために

"一緒に生活する人間の間の平和状態は、なんら自然状態ではない。自然状態は、むしろ戦争状態である(中略)それゆえ、平和状態は、創設されなければならない。"1795年発刊の本書は、バーゼル平和条約を背景に永遠平和の実現は決して空論にとどまらない根拠を考察した先見的名著。

個人的にはページ数こそ少ないものの読みづらい印象を受けて積読状態であった本書。あらためて向き合ってみました。

さて、そんな本書は【原理原則から深い考察を行った】著者らしく(一時的な平和条約ではなく)戦争が絶対に起きない永続的な平和状態は如何にして創設可能か?をテーマに【時代背景を感じる予備条項】として『戦争を留保した講和条約』『買収、贈与による国家の取得』『常備軍の維持』『戦争のための国債発行』『軍事的内政干渉』『諸外国との相互信頼を損ねる行為』を【全て禁止】とした上で、はじめて確定条項として『各国の政治体制が共和制』である世界共和国を形成できれば【世界平和は可能である】と述べているのですが。

オランダの食堂に"現実的ではないだろう"と当時【皮肉げに掲げられていた】標語『永遠平和のために』をあえてタイトルにした上で、空虚な絵空事ではなく【永遠平和状態は実現可能だ】と、国家とは何か。から始めて冷静に一つ一つ考察している著者の姿勢に強い感銘を受けました。

また、やはり。未だに実現していない『常備軍の撤廃』の指摘、本書とは違う要因、形だとしても実現した『国際連合』の予見。はとても興味深い構想だと思いました。総じて約220年前に【よくこんな考察したな】と驚かされます。

世界平和を本気で考えている人、または先人の深い考察に触れたい人にオススメ。

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