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通天閣–50年の歩み–

"通天閣は、鉄骨の塊であるにも関わらず、擬人化できる存在です。言葉を投げ掛ければ、心の声を返してくれるタワーです(中略)地元住民が資金を出し合い、気持ちを込めて建てたタワーだから、あの鉄骨には血が通っているのです"開業50周年記念として2007年発刊の本書は資料的にも貴重な一冊(非売品)

個人的には警戒解除を受けて【1年3か月ぶり】に赤から緑色にライトアップされた通天閣を眺めたこともあり、手元にあった本書をあらためて手にとりました。

さて、そんな本書は2006年10月に無事、通天閣創業から50周年を迎えたのを機に運営する通天閣観光株式会社が『50年の歩み』として刊行したもので。広告スポンサーとしてネオンサインを掲げている日立他、府知事や市長から寄せられたメッセージ、50周年パーティーの様子が掲載された上で。初代通天閣からのこれまでの詳細な歴史が約50ページ、藤本義一阪本順治橋爪紳也大西ゆかりと縁のある方々の寄稿、恒例行事の福豆まきや干支の引き継ぎ式を紹介。最後に『マスコミ誌上座談会』として、各新聞社の記者が思い出や提言、応援メッセージが集められているわけですが。

まず2021年の現在からも15年前というわけで、【串カツブームやインバウンドに湧き→コロナで失速、低迷】する前の通天閣の様子が伝わってくるのが何とも懐かしいわけで。2006年当事はまさか周辺に外国人旅行者向けのゲストハウスが増えたり新今宮駅前に星野リゾートが出来る(予定)】なんて想像もつかなかったな。と、あらためて。

また本書では初代通天閣の『誕生から最期』そして戦後の二代目としての『再建から2006年現在まで』が詳しく掲載されているのですが。林芙美子の未完の遺作にして映画化された『めし』には再建前の【通天閣が不在のジャンジャン横丁が描かれている】事を知ったり、再建前に地元の人たちそれぞれが勝手に設計図つくったり、気運が高まっていた事や、再建しても東京オリンピック年の1964年には【光化学スモッグで経営危機に陥ったり】はたまた、かって存在した【地下将棋場の前には『地下水族館』があった】と、トリビア的な事を知ることができたのが楽しかった。

通天閣、タワー好きな方へ。また大阪を愛する全ての人にオススメ。非売品ですが。。

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