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処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな

"藤田はなにかを言いよどんで、結局あきらめたように、石を蹴った。『処女のまま死んでいくやつはいない。世の中にやられちまうからな』カート・コバーンが、僕たちになにをしてくれるっていうんだ。"2020年発刊の本書は著者初の書き下ろし小説にして、死別から再生までを切ないリズムで奏でる青春小説。

個人的には、若い方に猛烈にすすめられて。タイトルがミュージシャンの言葉とも知らず手にとらせていただいたのですが。先に言うと、とても良かった。

さて、そんな本書は病気で彼女を失った佐藤晃が、留年してやり直す事になった高校三年生活で、あたらしく出会った同級生たちとバンド活動を再開することで再生していくのですが。

こうやって書くと、いかにも王道的で『よくありそうな話』と思えるのですが。それでも、設定も含めて少しずつ明らかになっていく工夫を凝らした展開【全てがラストに組み合わさっていく】ミステリー的な要素もあって、最後まで飽きずに楽しませていただきました。

また、死んでしまった彼女も含めて?【登場人物たち全てに何らかの救いがあったり】そもそも、とにかく好人物ばかりが登場するのも、コロナだったり天気だったりでストレスがたまりがちな中、なんだか救われるような爽やかさを感じましたね。

登場人物と同世代の中高生はもちろん、かっての学生にも清涼剤的にオススメ。

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