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【Day41】ベトナム63省バイク旅(Lao Xa/Phó bảng編)桃源郷の世界があった
Đồng Vănの朝。昨晩は、週末ということもあり、ホテルやホームステイの部屋がほとんど空いていなかったのだが、偶然訪れたホテルの部屋の空き状況を確認していたら、オーナーの方に「ちょうど5分程前に、このホテルの部屋は埋まってしまったけれど、私の家族の家が近くにあって、部屋が余っているからどう?」と言われる。とりあえずついて行ったら、素敵なご実家が。部屋もキレイだったので、1泊滞在させてもらうことに。
この街には何度か戻ってきて、数泊滞在しているのにも関わらず、今朝初めて市場をしっかりと周る。市場で売られているものって、その地域で採れる野菜や果物だったり、気候に適した服だったり、新鮮な路面店の料理だったり、なんだかワクワクする。
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QL4Cはメインの道路だけれど、ハザン省の面白い場所は、少し回り道をしてみるところにあると思う。今日、本当はLao Xaという小さい村でホームステイを運営しているご家族のところに泊まろうかなと思っていたけれど、小さな場所なのですぐに予約で埋まってしまって、空きが無かった。でも、とりあえず行ってみたい!その途上の光景も楽しもう!という勢いだけで向かう。
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しばらく走って、細い道を進んだ場所に、この村があった。まるで桃源郷だ。村の人々に「ホームステイはどこですか?」と聞いたら、その隣にあった笑
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訪れた時、ご家族の娘さん?奥さん?が外で洗濯をしていた。日本で言うところの、「いらっしゃいませ」というよそよそしい言葉は無く、ただ少しのほほ笑みを見せてくれて、洗濯を続けている。「あ、一気に家族の日常に溶け込んだ」そんな感覚。この辺りは、とにかく静かだ。この村では、自分のバイクの音が、一番の騒音だったんじゃないか?とすら思う。鶏の声も、なぜかこの村で聞くと、落ち着く。そして、空気がキレイなのがわかる。
何かの境界を越えた感覚。
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フィンコーヒーを頼んで、ゆっくりしていると、オーナーさんと見られる若い男性が「こんにちは」と声を掛けてくれた。子どもが周りを走っている。「今日は、満室なんだよね」と、ホームステイだったことを思い出させることを伝えてくれたけれど、私は、とりあえずこの場所を知れて、そして来れて良かったなと思った。
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ゲストは、ほとんどが外国人。どこかで噂を聞きつけてやってくるのだ。数日前にお会いした「ハザン省通」の日本人の方もおっしゃっていたけれど、ここのオーナーさんは、モン族の少数民族としては珍しく、自らの日常をホームステイとしてゲストに開放し、毎晩一緒に食事をしながら歌を歌ったり、踊ったりして夜を過ごすのだそう。それは、他の観光地化した場所とは違い、ゲストを一気に彼らの日常に惹きつけて溶け込ませる空間があった。
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泣いている顔すら、美しき少年よ‥‥。昨日もそうだったけれど、モン語は、どこか音楽のように聞こえてくる。みんなベトナム語を近くの街で学んでいるから、会話ができる有難さ。そして、多様な文化が入り混じっているからこそ、人を見た目で判断しない人々。
この辺りに来る欧米人のほとんどはバイクツーリングが目的で、キン族(ベトナム人)のほとんどは写真撮影に夢中で、私はたぶん、こーゆう至福の時に夢中なんだと思う。いろんな民族を考えてみても、日本人は他の地域や民族に興味を持って、言語を習得し、その歴史や文化の文献を読み、理解しようとする人々が多い気がする。あぁ、魅了される‥‥
その後、また旅路へ。Lao Xaまでの道のりも天国みたいだな。そんなこと言って、まだ天国に行くことはないようにしないとな、と何度も言い聞かせながら。
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今まで人生に2度、景色を見て感動して泣きそうになったことがあって、それはスコットランドのバスから見た風景と、スイスのベルニナ鉄道からの車窓風景だった。アメリカのグランドキャニオンのような風景は、男性性が強い気がしていて、私はもう少し繊細なものを求めている気がする。
そして、3度目はここ、ベトナム北部。まぁ、ここでは実際走りながら泣いてたら、前から来るトラックや観光バスに吹き飛ばされる可能性があるから(いや、冗談抜きで)、一旦何もないところで停止して、静けさを味わう。
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日中は、「あぁ、こーゆうところで生活するのも良いなぁ〜」と思いながら、夕方頃になると一気に気温が下がって、「あ、やっぱり自分には向いていない」と思う笑
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ゆっくりしすぎて、ハノイの友人に、「いつ『下界』に戻ってくるのか?」と聞かれる。わからない。今は今を大事にしたい。(とはいえ、超現実的に考えると、ハロン湾のマラソン大会の日程が迫っているので、もう少しでハノイに戻らなければいけないのだ)
その後、今日滞在予定のPhó bảngの街へ。
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この街は、ハザン省のどの街よりも、中国の風が吹いていた。毎日、出発した場所とたどり着けた場所、そしてその道のりで出会った人々と景色に感謝しながら、睡眠と健康第一で過ごす。
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