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日本語講師の方からの教え「日本語をいろんな視点から見ること」

日本に住む外国人労働者に携わる中で、「やさしい日本語」という情報発信の仕方を知り、偶然、観光業関連のグループが立ち上げた#インバウンド観光対策のZOOM会議でも「日本にいる外国人」というテーマとなった。

改めて、助成金申請や労働法関連の「やさしい日本語」での情報発信をしようと思った際に、そもそも母語話者として話している日本語をまずは学ぼうと、現役で日本語教師をされている方からの話を伺った。

「もともとは留学生に向けた日本語教育を行っていた。今は日本の大学生や外国籍の社会人学生に向けて考え方や論文調の書き方、日本語教授法も教えている。全てオンラインで行っており、日本語教育の多様化、対象者の拡大、教育自体が変わってゆくのを痛感している。」

私自身、オーストラリアの小学校での日本語教育や日本文化紹介に関わらせてもらった時期もあり、数年前に近所のNPO団体が主催する日本語教育講座を約半年受け、留学生や友人たちに日本語を教えていた。その際に、母語話者でも、語学を説明するために学ぶ必要があり、かつ外国籍の方々の子供たちの教育となってくるとまた異なるコミュニケーションが必要になってくるのを痛感していた。(子供たちは、自分の意志で日本に来たわけではなく、親に連れてこられているので、そもそも心を閉ざしている場合もある)オーストラリアで日本語を教えるのと、日本在住の方々に日本語を教えるのとでは、背景が全く異なる。

日本語講師の方曰く、アルバイト先で外国人労働者への教育係になり、伝えられないことを痛感し、日本語教育学科へ進んだ学生もいるそうだ。そのような日本人も今後増えてくるのだろうか?

「日本語教育を学ぶと、
相手を見ながら日本語をコントロールできるようになる」

これは、インバウンド観光対策の会議でも話題になったテーマで、日本語で話しかけてほしい外国人もいれば、言っていることを聞き取れるけれど話すのは難しい人や、日本語を話せるけれど書けない人々もいる等、状況がそれぞれ異なるので、相手を見ながら自分の「日本語をコントロール」するのだそうだ。

日本にいる「外国人」とは?
・日本人の配偶者 ・留学生(目標は論文調の日本語)・技能実習生 
・定住者 ・技術、人文知識、国際業務
・看護師、介護、福祉士候補者(医療現場)など
※就労ビザという種類はなく、それぞれが細かく何の就労なのか、人文知識、国際業務、介護など分かれている

2018年の海外日本語学習者数(国際交流基金調べ)
1.中国
2.インドネシア
3.韓国
4.オーストラリア
5.タイ
6.ベトナム
7.台湾
8.米国
9.フィリピン
10.マレーシア
※オーストラリアで学習者が多いのは初等教育での第二言語に取り入れられている為。ベトナムの伸び率が顕著。

言葉を教える方法
1. 直接法(媒介語なし)学習者が多国籍である日本での日本語教育
2. 間接法(媒介語あり)海外で教える場合や媒介語がある場合

「街を歩いているときに、看板を見ながら『この文章を、わかりやすい日本語に変えたらどうなるか?』ということを考えている。その後、日本語クラスの例文に使う」

なるほどなぁ、と。日本語をそういうように意識して見たことが無かったので、今後、そういう視点で見てみようと思う。

そして、授業中によく使うものとして
・写真、スマホの画面
・絵を書く
・レアリア(本物のペンをペンとして使う)
を挙げていらっしゃった。「レアリア・生教材」とは、言葉の教育の補助教材として用いられる「本当の物」(教育のためにわざわざ作られたものではないもの)を指すそうだ。わからないものを言葉で説明しようとすると、学習者は余計に混乱するので、用意する。

https://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_rsorcs/o_book01.html

「よく、日本語を教え始めた方から、『どのような教材が良いのか?』と聞かれるが、まずは学習者の希望を聞くところからスタートする」

本の紹介は難しいが、と以下サイトを共有して頂いた。

国際交流基金の日本語国際センター「みんなの教材サイト」

https://minnanokyozai.jp/kyozai/top/ja/render.do;jsessionid=8321BDF738A04C00F659F6B498B060EC

母語として自然習得した人にとっての日本語と外国語として学習する人にとっての日本語は異なる→日本語をいろんな視点から見る必要がある。

日本語は難しい言語なのか?
日本語は音声で言うと、守備範囲が広い言語
例:Glass と Grass は同じラ slump と lamp も同じラ

文字で言うと難しい 
日本語の文字表記の特徴は①種類が多い、②それぞれの数が多い
文字から教える必要があると思いがちだが、相手の希望を聞き出す必要もある。そもそも、日本語は似ている文字が多い。ここで詰まると、日本語学習から遠ざかってしまう学習者もいるので、とにかく相手に合わせて教育を。

例:わ・れ・ね い・り は・ほ マ・ヤ ウ・ワ 大丈夫 

教え方:順番は、母語話者の子供たちと同じでよいのか?
子供たちは物語ですでに出会っている漢字を1年生で学ぶが、日常会話で使うわけではない→その人の生活範囲内で目にする漢字を先に教える(生:学生、たん生日ではなく→生ビール)

日本語に文型がある?
あり。ただ日本語学習者専用の呼び名がある

なので、留学生や日本語学習者に「『書かない』のテ形は何て言いますか?」と聞かれることもあるそうだ。日本語講師でなくても、これだけでも知っておけば、ちょっと理解が深まるかも。

国際交流基金の海外日本語教育機関調査(2018年)

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