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インドが抱えている様々な問題は、地球全体が抱えている問題と同質【本:河童が覗いたインド】

インド旅行記の本は、この世の中にごまんとある。
特にバックパッカー的な、旅人情緒あふれる文章好きにとって、インドは「書きごたえがある」国だと感じる。

インドに来るときに、インド関係の本を20冊(と、旅する度に増える建築や南インド書籍たち)ほど持ってきていたのにもかかわらず、実はオフィスにもミニ図書館があり、なんだかんだ2023年は10冊も読めていなかったのけれど、ようやく、この傑作本『河童が覗いたインド』を完読。

やーーーー!あっぱれ!素晴らしき洞察力!芸術性!

この本は、舞台美術家である著者が、1978年と1983年に、1ヶ月半ずつインドを旅した記録が手書き文章と図面により細部にまで渡るインドを紹介しているのですが、まずこの著者の好奇心・行動力・ユーモアなセンスにアッパレ!!(2回目)

最初の、インド紙幣に書かれた公用語を全て知りたい、でも現地の人々も知らない、日本に帰って大使館の人々にも聞くが、大使館の人々も調べながら回答に1時間半かかった等、私自身も改めて紙幣を見ながら、答えられたのはウルドゥー語、マラヤラーム語、ヒンディー語、カンダナ語、タミル語、テルグ語くらい!ミゾ語とかコンカニ語、シンド語、オディアー語とか、「どこやねんそれー!」でも面白い。

著者の図面と取り出した紙幣

ちなみに、50ルピーを以下言語で書くと次の通り。

アッサム語:পঞ্চাশ টকা 
ベンガル語:পঞ্চাশ টাকা
グジャラート語:પચાસ રૂપિયા
カンナダ語:ಐವತ್ತು ರೂಪಾಯಿ
マラヤラーム語:അമ്പത് രൂപ
マラーティー語:पन्नास रुपये
ヒンディー語:पचास रुपये
オディアー語:ପଚାଶ ଟଙ୍କା
パンジャビ語:ਪੰਜਾਹ ਰੁਪਏ
タミル語:ஐம்பது ரூபாய்
テルグ語:యాభై రూపాయలు
ウルドゥー語:پچاس روپے

ミゾ語:cheng sawmnga a ni
ネパール語:पचास रुपैयाँ
サンスクリット語:पञ्चाशत् रुप्यकाणि

第8附則指定言語は当初14言語だったが、1967年にシンド語、1992年にネパール語、コンカニ語、マニプリー語、2003年にマイティリー語、ドーグリー語、サンタル語、ボド語が追加された。

Wikipedia
Wikipedia
  1. アッサム語(アッサム州)

  2. ベンガル語(トリプラ州、西ベンガル州)

  3. ボド語

  4. ドーグリー語

  5. グジャラート語(ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域、ダマン・ディーウ連邦直轄地域、グジャラート州)

  6. ヒンディー語(アンダマン・ニコバル諸島連邦直轄地域、ビハール州、チャンディーガル連邦直轄地域、チャッティースガル州、デリー首都圏、ハリヤーナー州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ジャールカンド州、マディヤ・プラデーシュ州、ラージャスターン州、ウッタル・プラデーシュ州、ウッタラーカンド州)

  7. カンナダ語(カルナータカ州)

  8. カシミール語

  9. コーンカニー語(ゴア州)

  10. マイティリー語

  11. マラヤーラム語(ケーララ州、ラクシャディープ連邦直轄地域)

  12. マニプル語(メイテイ語) (マニプル州)

  13. マラーティー語(ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域、マハラシュトラ州)

  14. ネパール語

  15. オリヤー語(オリッサ州)

  16. パンジャーブ語(パンジャーブ州、デリー首都圏)

  17. サンスクリット語

  18. サンタル語

  19. シンド語

  20. タミル語(タミル・ナードゥ州、ポンディシェリ連邦直轄地域)

  21. テルグ語(アーンドラ・プラデーシュ州)

  22. ウルドゥー語(アーンドラ・プラデーシュ州、ビハール州、デリー首都圏、ジャンムー・カシミール州、ジャールカンド州、ウッタル・プラデーシュ州)


あと、やっぱり同じ関西出身だと思ったのは、どっか旅に出て、自分の中で繋がるものとか感動があったとき、躊躇いもなく一人で感動の言葉を日本語で声に出すところ笑 

「これが、あの歴史に繋がるのか!」とか。
「ここは、あの家族にとってどう感じるんやろなー」とか。
で、それをそのまま声に出して、
「ここは、どういう場所ですか?」と直接聞くところとか。

時は30〜40年前のことで、価格の違いを見るのもまた面白く、ウダイプールにあるLake Palace Hotel(タージ系列ホテル)は、湖に浮かぶ王宮で、著者が滞在したときの通常のツインルームが8,750円と記載があり、今見たら安くても70,000円!笑 8倍とは。(コロナ禍でダメージ受けた分を取り戻す勢い、必死さを感じつつ、1度この値段になると安くなることは無いだろうなと思う。インドを旅するアラブ人も多いしね・・・)

Lake Palace Hotel

ニュー・デリー
イギリス植民地時代に創り出された整然とした市街地は、その後そのままの姿で、イギリス人と入れ代わったインド人の支配階級に引き継がれている。

アンナー・ドゥライ氏
1949年にDMK(ドラヴィダ進歩連盟)という政党を結成
ヒンディー語反対運動の主導者
結局、公用語は14語ということで当時落ち着いた
州名をマドラスからタミルナド州に変更

アンナ・サライは彼を記念してつけられた道路の名前

インド生活で、めっちゃ同感だった以下の著者の行動。

ホテルにチェックインするときは、フロントの人を心配させないために、ネクタイにスーツ姿で入る。

鍵をもらって部屋に入ったら、すぐ外出用の服装に着替える。ネクタイをとり、インドへ来てから買ったシャツを身につけるが、それも裾をズボンの上へはみ出させた現地スタイル。足元は素足にサンダル履き。

中身は変わっていないのに、自分では土地の人に早替わりした気分で、町へ出かけていく。

疑問があったら直ぐ様周りの人々に聞いて、でもただそれを鵜呑みにするんじゃなくてよく観察されている!この本、インドで読んで良かった!!

椎名誠氏が言っていた。

いい旅とムダ旅をわけるのは単純にその人の興味と感受性の問題である。

全くその通りである。この本を片手に、カジュラホ、アグラ、マドゥライ、アジャンタ、ウダイプール、ジャイプールなど、また新たな目線で国内を旅したいと思った。

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