親を憎んで親を憎まず

焼いたケーキの、手前の所だけ生焼けだったみたいなことなんです。

串を刺したら、オーブンで火の通った所はサクサクふわふわしているけど、通りにくい所はネッチョリしているような。

昔想像してた自分の中の大人像よりは全然大人じゃないけど、自分なりに大人になってきたつもりなんです。

確定申告したことないし、ローンも組んだことないし、煙草も吸ったことないけど。

だけど、ほろ酔い堂々と呑めるし、法律上は車で北海道だって沖縄だってペーパードライブできるし、ビジネス敬語はヤンキーの拳くらい咄嗟にでるようになってるし。日本語は乱れるけれども。

それなりに良い年齢だから、大人のハードルは超えたりくぐったり倒したりはしてきている。

昔すごく高く見えたハードルも近づいてみるとなんだこんなことか、と跨ぐ程度だったなんてことも経験している。
きっと近い未来くる確定申告もローンもこんなことか、なんだと思う。タバコの予定はないが。

でも、超えられてないハードルがずっとある。
ずっとトラックを迂回して視界に入れないようにしていたやつ。

それを見てしまうと、小3くらいの精神状態に引き戻されてしまう。それくらい恐ろしいことでした。世界の終わりだと思っていました。
人からみるとなんだそんな事、だと思うけど、自分に起こったことの自分への影響は人にはわからない。

ケーキの生焼きの部分がそれです。
抵抗なく竹串が通ってしまうくらい弱い。

哀しかったことにかさぶたが出来て無かったことになるのが大人とは思わないけれど、
大人になることと時間が経つことはニアリーイコールだろう。

かさぶたができるには時間が必要なんだから。

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