見出し画像

あの頃



嘲笑。
 私たちは全て似ている。それはとても良いことだ。
 鏡が三十とちょっと。でも、私とあなたは同じじゃない。
 同化。圧力。無知。勘違い。
 手を繋いで笑っている。仲が良いのはとても良いことだ。
 たかが知れた友情の理由。
 大嫌い、大好き、生理的に無理。
 輪からはじき出された鏡。
 寄りあつまるマス。
 何も知らない空虚な瞳。
 ストレス社会だから諦めなさい。
 私はそこに己を見る。
 悲しい顔で笑ってる。


 嫌悪。
 私が悪い?私が悪い?私が悪い?
 自らのとげでもうズタズタ。
 好きと同じエネルギー。
 使い果たしてもうヘロヘロ。
 決められたルールを守ることが近道。
 バリアの方法はそこにとどまって動かぬこと。
 でも、ある日突然気づく。
 私とあなたは大違い。
 私はあなたを大っ嫌い。


 不安。
 怒鳴るだけで何も教えてくれない巨人たち。
 叫び泣くだけで何も諭してくれないピアノの魔女。
 息をしてるのかもわからないフラスコおじさん。
 直接見るのは眩しいから、日食グラスをかけましょう。
 苦しいなら叫べばいい?
 奇人はそれだけでゴミ箱行き。
 イカスミコンタクト内蔵ロボット。
 脈打つ心臓はまだまだ現役。
 この先暗幕タイムマシーン。
 遅々として進まぬ私の身体。
 頼りのない一本道。
 なぜこんなに窮屈なのか。
 耳栓。


 反抗。
 おめでとう。
 今日からあなたも仲間入り。
 さあ、お祈りを唱えましょう。
 決まりごとを守ってこそ、正しい人間になれるのです。
 少しでも反することをしたら、即刻地獄行きですよ。
 こらこら、つまらないことにうつつを抜かさない。
 悪いことじゃなくて善いことをしてください。
 自らの意思で感謝してください。
 ありがたいことなの、生きているということは。
 虫唾が走るこの肌を沈める方法もわからない。
 あまりにも八方塞がり。
 素直に生きてたはずなのに。
 不幸じゃなかったはずなのに。
 とりあえず、ルールを破る。
 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?