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麻衣
2019年5月15日 11:32
私は電車に揺られていた。 平日の午後であった。日本中で労働の緊張が張り詰めたこの時間、電車の中は外の世界など素知らぬ顔の平穏な海中のようにのどかな空間だった。座席はまばらに埋まっているだけで、人々は手元のスマホを見つめたり、電車の心地よいリズムにまかせてうたた寝をしたりしていた。私の目の前には若い女の人が座っていた。ショートヘアで薄手のカーディガンを羽織った地味な見た目であるのに、その背筋だけは