ぐんぐん成長を続ける日本経済 - なのになぜ我々は豊かにならないのか?
Quoraで書いた回答で、日本の経済は実は沈降も停滞もしていないということを書きました。こちらのnoteでは、それをまじめに解説してみようと思います。
経済の指標にはいろいろなものがあります。
実質GDP
名目GDP
名目GDP (USドル)
名目GDP (PPP)
一人当たりGDP
生産年齢人口当たりGDP
労働生産性 (労働時間当たりGDP)
などの指標があります。GDPだけでも4種類。それを一人当たりなどで見た指標を組み合わせれば数十種類になるでしょう。
このなかで日本の経済がよくやっているかどうかを見るには、労働生産性や生産年齢人口当たりGDPを使います。
労働生産性や生産年齢人口当たりGDPが伸びていれば、日本人は少ない労働や人数で高いGDPを生み出せます。ようするにより効率的になっているのです。
その一方で、単純なGDPや一人当たりGDPで見てしまうと、人口減と高齢化の影響によって、日本の生産性は過小評価されることになります。
そこで生産年齢人口一人当たりGDPを見てみましょう。
労働人口当たり実質GDPを見ると、このように日本経済は米国と同程度に順調に成長しているということができます。
では、なぜ日本の多くの人々は豊かになっていると感じないのでしょうか?
まず自明なのは高齢者を養う負担が増えていることです。高齢者を養う資金は、税金や社会保障費や年金として徴収されます。その分だけ、現役世代は働いた分を取られてしまうことになります。
もうひとつは実質賃金が伸びていないことです。
この論文でも、日本は先進国と同程度の生産性の伸びを実現しているが、全く賃金が伸びていないと論じています。
その理由としては、ひとつには失業率が下がっていることがあげられます。失業率が下がれば、その過程においては、低い給料をもらう非熟練労働者やパートタイム労働者が増えるので、賃金は下がります。
しかし失業率が十分低い領域になれば賃金が上がるはずなので、賃金が上がらないのはおかしいともいえます。
やはり日本人労働者の戦わない姿勢が賃金の低さを招いているのではないかという気がしないでもありません。解雇規制などの制度的理由もあるかと思います。
最後には格差の拡大があるかもしれませんが、所得格差自体は拡大しつつありますが、再分配後のジニ係数は拡大していないみたいですね。
しかし日本は格差の大きく貧困率の高い国ということなので、庶民層が豊かさを感じられていないという状況はあるのかもしれません。
日本は経済がダメなのではなく、そのお金の使い道に問題があるということが分かりました。
日本の経済成長の果実が、賃金向上や貧困改善に使われていないことが問題でしょう。
その原因には、貧困層の味方をやめて、道徳主義リベラルになってしまった左派の存在があることが間違いないでしょう。
貧困対策や労働分配率を強化することが日本にとって必要なことと思います。
そして高齢化社会においては、無理な延命などをやめて、介護負担や医療費を少しでも減らしていくことを考えなければならないでしょう。私はこの領域は詳しくないのですが、何らかの打ち手が必要なことは間違いありません。
あと実際には日本人は豊かになっていると思いますよ。
20年前に比べれば、奇麗で豪華なビルやマンションは立ち並び、その中にはキッチン、トイレ、浴槽と、最新設備が詰まっています。バブル期なんて目じゃないくらいの豪華さです。
飲食店も安くて美味しい店が無数に増えました。豪華なホテルやショッピングモールもたくさんできました。
30年前は駅のトイレなんて使えたもんじゃない汚さでした。
こうした豊かさは着実に向上しているのに、人々はそれに全く気付いて感謝するそぶりも見せていないように思います。
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