伏線回収|シンガポール2024 #2
前回:ホテルが遠い。
マーライオン そこそこ
三大なんちゃらを巡ることを生業にしている。中でもお好みは三大ガッカリである。日本の三大ガッカリは全て巡ったので、次は世界三大ガッカリなのだ。
そこでシンガポール。シンガポールといえばマーライオン。想像より小さいことでガッカリにあげられることが多いが果たして。
そこそこガッカリ。
そこまで小さいとは思わないが、店の看板から土産物まで、すでにマーライオンを国中で眼にしているので、こんなもんかと感動が薄い。
何より、マーライオンの水を受ける例の写真を撮るぐらいしかやることがない。ナイスガッカリ。
シンガポールフライヤー 伏線回収
ポジティブガッカリをした後、友人とともにカヤトーストを食べる。
バターサンドをバターで揚げるという、深夜のテンションでないと作れない料理だが、シンガポールのソウルフードらしい。
実際食べてみると、この世の果てのような甘さ。料理というよりお菓子。美味いは美味いが、カロリーが実体をもって襲ってくる食いもんだ。
カロリーを食べた後、シンガポールフライヤー(アジア最大の観覧車)に向かうが、どうも様子がおかしい。最寄り駅を降りるも、シンガポールフライヤーまでの道が封鎖されている。そして友人が言う。
「観覧車動いてなくない?」
・・・動いていなかった。
ここで僕らはようやく気がつく。僕らの滞在がF1シンガポールGPの日程と丸かぶりしていたことに。
スタッフ証を下げた人に何度もすれ違った。
前日から街中のあちこちが封鎖されているのは眼にしていた。
マリーナベイサンズはフラッグ模様にライトアップされていた。
そもそもホテルの予約も駅から遠いホテルしか取れなかった。
記憶が走馬灯のように駆け巡った。これが伏線回収か。
リトルインディア 異文化
シンガポールには世界中から多様な人が訪れる。街中で見かけるのもマレー系、欧米系、中華系、インド系、アラブ系と、人種のオールジャンル同人誌即売会だ。
そのため市内には、横浜中華街のようなそれぞれの国の人が住む地域がある。僕らが向かうのはリトルインディアというインド街である。
目抜き通りには、サリーを着た女性たちやジャスミンの花やヒンドゥー教の像を売る店、スパイスがむわっと香る飲食店が並んでいる。インドには行ったことが無いが、インドの雰囲気が想像できる。濃ゆい。
街の中心にあるのがヒンドゥー教のスリ・ヴィラマ・カリアマン寺院だ。僕らが入ったとき、ちょうど礼拝の時間だったようで、僧侶たちがお経?を唱えていた。寺院内は極彩色の神々の彫刻が所狭しと祀られ、供物であるジャスミンの香りが漂う。
言葉も何も分からないが、初めてのヒンドゥー教寺院は、何やら荘厳さと力強さを感じた。破壊や殺戮を司りがちなヒンドゥー教の神々ならではである。
なお、寺院内は冷房もなくあちこちでは火が焚かれており、半裸の僧侶たちは汗びっしょり、観光客でごった返しているので、むわっともわっと蒸し暑い。インドは濃ゆい。
リトルインディアの隣には、アラブ系の人々のいるアラブストリートがある。中心にあるのはサルタンモスクだが、ちょうど礼拝時間で入ることができず、歩き回った暑さと濃ゆさでぐったりした僕らは、涼を求めてナショナルギャラリーへと向かった。
ナショナルギャラリー 時差
ナショナルギャラリーは、東南アジア最大と言われる現代アート美術館だ。昔の最高裁判所と市庁舎を改装し、7フロアにわたる美術館になった。イオンモールのように広い。
旅先で美術館に行くのは好きだ。言葉が分からなくても想像で楽しめるし、基本的に静かだし、休憩スペースもある。濃ゆい異文化を見てきた僕らにはぴったりの場所だ。
館内のカフェで遅めの食事をとった後、館内を見て回る。ナショナルギャラリーの裏の道路がF1コースのようで、F1カーの轟音がときどき聞こえる。BGMである。
いくつかの企画展と常設展があるのはいいがそれにしても広い。一通り見て回った後、休憩スペースでぼんやりと休むことにした。
スマホの時計をみると時刻は16時を過ぎたあたり。日本から時計を直していなかったので、現地時間15時である。18時から開くサテ屋台に行く予定だったため、それまでうだうだ休憩だ。
友人と僕はそれぞれ館内で好きなものを見たりトイレに行ったりして時間を潰した。
1時間ほど経ったところで、ふと館内の時計が目に入る。17時過ぎ。
ん?スマホの時計と同じ?
スマホの時計も17時。時差を考えると現地時間16時のはず。はずなのだが館内の時計が間違っているとは思えない。
友人は自宅の家族にメッセージで聞いてみると日本は18時とのこと。どうやら僕らはずっと1時間遅れて行動していたらしい。そしてスマホの時計は自動で時差修正されるらしい。
いつからだ。いつから僕らは間違っていた。
サテ屋台 海老うまい
時差修正に気が付いたときには、もうサテ屋台が開く時間だったので、サテ屋台の場所へと向かった。時間を間違っていても旅はできる。
サテとは、東南アジアで食べられる鶏や牛の串焼きである。僕らが向かったサテ屋台は夕方になると道路を封鎖してテーブルが並べられて食事ができるという場所だ。
僕らが到着したとき、すでに食事を楽しむ人々でごった返していた。高層ビルがならぶ真ん中の道路で食事ができるのは面白い。新宿コクーンタワーの前の道路でビールが飲めるようなものである。
サテ屋台といってもいろいろな店があり、シンガポール料理から中華・洋食・日本食の店もあった。そんな中僕らは、評判のサテで串盛りセットを買って席についた。
鶏串と牛串と海老串である。鶏串と牛串は甘めの味付け、焼き鳥感覚で食べると舌に裏切られた気分になる。海老串は大変美味しい。甘くない。そういえばシンガポールはシーフードの国だったし海老も有名だった気がする。
海老をむしって手がベタベタになったところで食事を終える。前日の決意から帰りはGRAB(東南アジアのタクシー配車アプリ)でタクシーを使いホテルに戻った。
どの駅からも遠いホテルだったが、タクシーを使うと楽に到着できることに驚きを隠せない。GRAB快適。便利。最高。明日も使う。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?