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NISAを月次レポート研究所でも語りました 月次レポート研究所のポッドキャスト 2023年9月 テキスト版

こちらのポッドキャストのテキスト版です。


renny:月次レポート研究所のポッドキャスト2023年9月後編です。前編では鎌倉投信さんの受益者総会の様子を、吉田さんにお聞きしました。その1週間前に有楽町の東京国際フォーラムで、SBI証券さんのイベントがあったそうです。その様子をお聞きしたところかなりの大盛況で朝の10時から始まるパネルトークのイベントで、席が足りず立ち見まで出たそうです。前編の鎌倉投信さんの話でも参加者の年齢層についてお話しましたが、SBI証券さんのイベントにはかなり若い方、例えばベビーカーを引いてるお母さんが参加されていたそうです。そういう関心の背景は、やっぱり来年新しくなるNISAが大きなきっかけの一つになっているという見方がされてます。これまでは、一般NISAは120万円×5年で600万円まで、つみたてNISAは40万円×20年で800万円までが上限額だったのが、来年から上限1800万円まで上がるということになって、枠を使い切るだけでも大変っていうような感じになるわけですが、吉田さんは今、NISAはどういうふうにお使いになられてますか?

吉田:一般NISAで鎌倉投信に口座を持ってます。

renny:そうなんですか。僕はてっきり個別株で一般NISAなのかと思ってました。

吉田:NISAって利益が出る前提で作られていて、損しちゃうと駄目なので、個別株は使い方が難しいんですよね。来年から制度が変わって損して手放したら、翌年にその枠が復活するらしいので、そしたら個別株でも使い道があるかな。

renny:なるほど。僕も一般NISAを使って、ずっとロールオーバーを続けてきたんですけれども、新しくなるNISAではちょっと使い方を変えざるを得ないかなと。枠も大きくなるし、期限もなくなるので。金融機関自体も変えようと思ってるんですが、吉田さんはどうお考えになってますか。

吉田:私もさすがに鎌倉投信一本で1800万円というわけにいかないので、SBI証券にNISA口座を移そうと考えています。

renny:そうなっちゃいますよね。そういう意味で今回の新NISAは鎌倉投信、コモンズ投信、セゾン投信といった直販で投資信託販売していた会社にとっては、ものすごい逆風になってますよね。

吉田:そうなんですよ。

renny:あと新NISAには二つ枠があって積立投資枠と成長投資枠。成長投資枠にはかなりの数の投資信託と個別株投資もできるみたいですが、一方の積立投資枠は今のつみたてNISAの適格投信じゃないと使えない。パッシブファンド大好きな人たちは何の不満も感じないでしょうが、アクティブファンドを買いたい人にとっては選択肢がめちゃめちゃ限られててですね。吉田さんもつみたて投資枠を埋めようと思うと、そこの投資信託を選ばなきゃいけないわけですよね。

吉田:そうですね。でも「おおぶね(農林中金<パートナーズ>長期厳選投資)」が対象になってくれたので、なんとかなるかな。

renny:そうですね。、最近m@さんのツイートで知ったんですが、アセットマネジメントOneの「未来の世界(グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド)」が、つみたてNISAに適格になるそうです。

renny:このファンドの月次レポートは全然つまんないんですけれども、投資先はかなり絞り込まれている印象があって、ここなんかは面白いのかなとは思います。一方で月次レポート研究所でも紹介したベイリー・ギフォードのファンドやスパークスさんの厳選投資は、信託報酬のところで条件を満たさないから、いくら頑張ってもつみたてNISAには選定されないという悲しいことになっているんですよね。

renny:これ本当になんとかしてもらいたいんですが、何ともならないみたいなんで困ったもんだなと。前編でこういうアクティブのファンド、たとえば鎌倉投信さんのように、投資先のことをしっかり伝えるというか、そこに価値を感じてもらうという投資信託は、若い人に触れてもらいたいというお話をしましたが、ベイリー・ギフォードやスパークスのファンドもそういう要素を持っていても、積立投資枠には不適格なのが非常に残念だなと思うんすよね。。

吉田:投資教育を誰がやるのか、はっきりしない現状で、それに類するような知識が得られるものって考えると、この手のアクティブファンドしか現状存在しない。そっちへ人を誘導するようにしないと、いつまでたっても日本人の投資に対する見識が深まらない。何も考えを持たない個人投資家が量産されていく事態というのは、なんか違うんじゃないかと思うんです。日本は高度経済成長の時に上の世代の人たちが頑張って貯めてくれたお金があって、それをどういうふうに次の世代に引き継いでいくか考えると、やっぱり一人一人がちゃんと投資のことを分かっていないといけない国なんじゃないかと思うんです。そして若い人もコストしか見ずにインデックス投資に走るせいなのか、とくに知識が身につかないまま変に投資に対する警戒感だけが下がってしまったのか、投資詐欺に遭う人が最近は高齢者より若い人が多いんですよ。

https://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/R03_seikatsukeizaijihan.pdf

renny:なるほどね。どういうふうに投資の成果が生まれるのかというようなところが抜け落ちてると、短期間ですごい儲かるというような話に心揺さぶられてしまうってことなんですかね。

吉田:普通に株式投資をしていたら、引っかかるはずない話に騙されるのは、中途半端な知識で分かったつもりになっているから起きるんです。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2022/

renny:吉田さんもおっしゃいましたが、高度経済成長の時にもアイディアは必要だったと思いますが、その当時は今よりも働ける若い人がたくさんいたのが、これからは労働人口も減っていくことを考えると、少ない投資で大きな効果を得るというか、手持ちのお金や資源の価値をどう高めるかを考えたときには、株式投資がすごく勉強材料になるのは間違いないと思うんですよね。

吉田:なんかこのままだと、みんなインデックスファンドでS&P500を買っておけばいいみたいな流れで、どんどん日本の外へお金が出ていってしまう恐れがあって。

renny:僕も最近知りましたが、ETFを除いて普通の公募投資信託で一番残高あるのは、S&P500のファンド(eMAXIS Slim 米国株式)らしいですね。

吉田:そうなんですね。

renny:アメリカの500社に自分たちの資産を割り当てるっていうことなんでね。本当それでいいのかなって。

吉田:新NISAのセミナーが人気なら、それが円安要因になって、輸入物価の上昇に繋がったりしないのかな。

renny:そうですよね。これNISAでS&P500だとかと流れたら日本円をドルに替えることですもんね。S&P500に投資するのがパフォーマンスが一番いいという話も、あくまで過去の話で、この先がどうなるかなんてわからないですし。良いアクティブファンドを事前に探し出すのは難しいから、ということでネガティブに評価される向きが非常に多いですが、パッシブ投資がある程度の時間と期間とってもプラス数のリターンが出てるっていうことが前提になってると思うんすよね。要はパッシブとはいえども、本当にプラスであり続けるかどうかは分からないわけで、マイナスになってしまえばパッシブがいいっていう人はおそらくいなくなると思うんですよ。だから将来がわからないからアクティブは選べないと言われても、将来が分からないのはパッシブも一緒だと思うんですよね。NISAが今の感じでいくと、吉田さんさっきおっしゃったように、1800万円を全部パッシブで埋める投資家が、うじゃうじゃ出てくる可能性もありますよね。

吉田:そうなったら何が起きるんだろう。考えることをやめてしまったお金がそれだけ増えると市場は歪むんでしょうね。

renny:本当にそうなってしまうと、圧倒的にパッシブの人が多くなると、新陳代謝がなくなって、新しいことが生まれなくなるんじゃないかなと思うんですね。

吉田:そうですよね。パッシブはリスクを取っていないですからね。

renny:NISAの積立投資枠の対象にパッシブ運用ばかりを選ぶ金融庁も、それでよしと思っているのかもしれないですけどね。

吉田:責任逃れなんでしょうね。インデックスだったら失敗しても誰が悪いとかいうのないから。

renny:それでいいのかなとは思いますけれどもね。金融庁がパッシブに肩入れしていて、アクティブファンドを育てようという機運が感じられないんで、この月次レポート研究所で取り上げられるような、ユニークな投資をしているアクティブファンドが出てきてきたらいいなと思っています。ただ、僕のリサーチが甘いのかもしれないですが、対象となる月次レポートが少々ネタ切れになってきてしまいまして。最近は2ヶ月に1度は月次レポートから離れて、投資に関連しそうな話をしようということで、前回はJリーグのクラブの決算を取り上げてみました。決算書を見てあれこれ話すっていうのも面白いのかなと思ったんですけど、吉田さんはこういうテーマを持ってきたら面白いかなという案はありますか? 急に無茶ぶりですけど。

吉田:Jリーグの回は投資家に限らず、いろんな方に読んでいただいた実感があって、他にもいいテーマないかなと考えてはいるんですけどね。

renny:たとえば前編でお話した鎌倉投信さんの受益者総会のテーマが食というつながりでいくと、食に関わる会社で面白そうな会社とか、吉田さんが投資されてるひらまつさんとか。外食産業の会社をピックアップして決算書を見てみるのも面白いかなと思ったり。

吉田:食関係の情報発信のところも面白いかもしれない。前にも紹介したかもしれないですが、私が通っている懐石料理屋さんが、毎月の献立について、食材の生産者の紹介や、料理人はこんな想いで料理していますという話をnoteで発信していて、YouTubeでは試食会動画を発信しているんです。(しばらく改装休業中だったので更新が止まっていますが)

renny:そういう発想って月次レポート研究所ぽいですよね。

吉田:あのお店の情報発信を運用会社の人に知ってもらうと、自分たちがやらなきゃいけないことが見えてくるんじゃないかな。他の業界はこういう情報発信の仕方でお客さんと繋がってるんですよ、こういう感じで投資信託もやってくれませんか、みたいな。

renny:なるほどね。自分たちの商品を紹介する方法として、情報発信をうまくしている事例を紹介して、こういうふうなアプローチで、月次レポートを作ってみたらどうですかみたいな話ですね。そういう事例は外食産業だけじゃなくて他にもありそうですね。

吉田:そうですね。基本、投資信託の業界はそのあたり時代遅れなので、先行する事例はいくらでもあるはずです。

renny:他の案も考えていて一つ思い出したんですけど、このポッドキャストで今年の初めぐらいにご紹介したファンドで、愛称が初めくん(明治安田セレクト日本株式ファンド)。最近の月次レポートを確認したら、相変わらずしっかり具体的で面白いことが書かれていて、成績もかなり良くてですね、投資先も三菱商事とか大型の会社もある中で、小型の会社がポートフォリオの上位10社に入っててですね、非常に面白いポートフォリオだなと。資金の流入も増えている月次レポート等が面白いファンドが、一つぐらいは出てきているので、こういうファンドが増えて欲しいなと思います。

renny:月次レポートを変えたから研究所で取り上げて欲しいとかというような売り込みも大歓迎です。投信会社の方から持ち込んでいただくとか、あるいは、どう変えたらいいのかとかっていうような事をお問い合わせいただいて、このポッドキャストで取り上げられたらいいなと思います。


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