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大人のスタートアップだからできる 自走型カルチャーを目指して

「コンテンツの力で、経済と人を動かす」をビジョンに掲げ、2022年に向けてサービスを開発中の新会社PIVOT。

ここに集まるメンバーには、どんな思いがあるのか。

これから何を生み出そうとしているのか。

創業期から人事マネジャーとしてジョインした武藤理沙子が、チーフSDGsエディター・竹下隆一郎と語った。聞き手は、エグゼクティブ・ライターの宮本恵理子。鼎談は10月下旬に実施。文中敬称略。

学生時代に打ち込めた大切な経験を共有した仲間からの声がけ

―創業間もないスタートアップでは「人事不在」のまま組織づくりが始まることが多いようですが、PIVOTでは創業時点から“人事のプロ”である武藤理沙子さんを迎えました。武藤さんのこれまでのキャリアと、PIVOTにジョインした経緯を教えていただけますか。

武藤 新卒で入社したのは日系大企業です。その後、もともと映画が好きだったこともあって独立系映画会社に入りました。2社で計3年ほどマーケティングの経験を積んだのですが、働き過ぎて体調を壊し、20代半ばでキャリアピボット。「私は“人”が好きなのかもしれないな」と考えて、人事の世界へ飛び込んだのです。外資系の大手コンサルティング会社と製薬会社で、採用から制度設計、組織づくりなど一通りの経験を積んできました。

PIVOTにジョインしたきっかけは、遡ると学生時代のご縁から。大学4年生の時、内定同期に誘われて学生主体のショートフィルムフェスティバルの運営チームに参加したんですね。その幹部だったのが木野下有市さんでした。

―木野下さんは、PIVOT CEOの佐々木紀彦さんと当時から友人であり、現COO(最高執行責任者)の創業メンバーですね。

武藤 はい。当時から木野下さんはビジネスプランを練ることが大好きで。私は映画会社でアルバイトをしていた経験を活かして、作品のレンタル交渉をしたり、素材使用のためのやりとりをしたり。役割が違ったので、時にぶつかることもありましたが(笑)、学生時代に打ち込めた大切な経験を共有できた仲間だという認識はずっとありました。

社会人になってからはお互いに忙しく、Facebookを通じて近況を知る程度。古くて薄いつながりが続いていたのですが、突然10年ぶりくらいにメッセージを受け取ったんです。「武藤さん、たしか人事の仕事をやっていたよね?」と。何事かと思って会ってみると、学生時代の時と同じように目をキラキラさせて「これから新しいチャレンジをするんだ」と話す木野下さんがいて。最初は副業程度のつもりで就業規則をつくるところから手伝い始めたのですが、関わるにつれて「私も本腰を入れて参加したい」という気持ちがムクムクと湧いてきたんですよね。気づけば、PIVOT沼にハマっていたという感じです(笑)

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武藤理沙子/HRマネージャー
日系大手通信会社、独立系映画会社にてマーケティング業務を経験後、外資系コンサルティング・ファーム、製薬会社にて人事プロフェッショナルとして研鑽を積む。採用、制度構築・運用、組織開発、HRBP等に携わり、ビジネスに合わせた組織と人のパフォーマンス最大化に尽力。フランスでMBA取得。米Gallup社認定ストレングス・コーチ。国家資格キャリアコンサルタント。愛猫の朝晩のブラッシングが至福の時間。

―日系や外資、会社規模も幅広い組織で働いてきた武藤さんが、PIVOTに参加しようと思えた理由は?

武藤 前職の仕事に特に不満があったわけではないんです。グローバルな環境でやりがいのある役割を任されていましたし、正直、PIVOTと出会わなければ転職はしなかったと思います。

決め手は「ゼロイチのチャンレジができる」と感じられたこと。これまでは、すでに整備されている制度をよりよく改善する経験を積んできたのですが、PIVOTは何もない状態から人事制度や組織のカルチャーをつくれるというステージ。こんなチャンスは二度と来ないかもしれないと思って飛び込みました。

それに、続々と集まってくるメンバーが本当に魅力的でエネルギッシュで、なんだか羨ましくなったんですよね。「私も仲間になりたい」と引き込まれたのだと思います。

スタートアップが創業期から人事のプロを迎えるという決断に意味がある

―竹下さんは武藤さんの採用に関わったお一人ですね。武藤さんに対してどんな期待がありましたか?

竹下 武藤さんにはPIVOTのコアメンバーとしてぜひ来てほしいと思いましたね。スタートアップが創業期から人事のプロを迎えるという決断に非常に意味がありました。

私は新聞社時代に労働組合の活動もしてきましたし、多くの企業の人事制度の取材もしてきた経験から、「組織づくりは“接木”ではうまくいかない」という確信があります。つまり、ある程度、組織が大きくなってから取ってつけたように流行りの制度を取り入れても、組織に馴染まずに形骸化してしまう。

組織の芽が少しずつ茎や葉を伸ばす最初の段階から、“根っこ”として土台をつくっていくもの。それが人事であって、会社の創業期にスターティングメンバーとして人事のプロが参加することが重要なのではないかと。武藤さんが来てくれて、すごく安心しました。

武藤 最初が肝心だと私も思います。スタートアップの人事は最初は社長が兼ねる場合が多く、専任者がいたしても人事未経験者が多いんですよね。今回、CEOの佐々木さんが最初から人事を置くと決めたのは、スタートアップとしては珍しいことだと思います。

竹下 経営者が組織づくりをやると、どうしてもフィーリング頼みになる気がするんですよね。仮に私がやったとしても、そうなると思います。けれど、人事や組織づくりは決してフィーリングでできるものではない。プロの視点が必要だと思います。

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グロースマインドセットを育むカルチャーづくり

―ジョインの際、「武藤さんへの期待」としてCEOの佐々木さんから何を言われましたか?

武藤 「経営者と同じ目線になって、どんどん提案してほしい」と言われました。今は入社して3ヶ月ほど経ったところですが、佐々木さんとは定期的に1on1をやっていて、最近ですと「グロースマインドセットを育むカルチャーづくり」が話題の中心です。

グロースマインドセットとは、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエック氏が提唱した「自分が持っている能力や才能は、経験や努力によって成長させられる」と捉えられる姿勢のことですが、このマインドを新たに入ってくるメンバーにも浸透させたいという狙いです。優秀な大企業出身者を迎えるにあたって、ハングリー精神を高め合う環境づくりが大事になるので、その準備を進めているところです。

こういった最新の人事トレンドをベースに議論できるのは、CEOの佐々木さんが取材経験豊富なジャーナリストであることが大きいですね。大企業の経営者と近い視座の高さと、長期的な視点を持っていて、本気でいい組織をつくっていきたいという意気込みを日々感じています。まさに40代ならではの「大人のスタートアップ」ですね。

―武藤さん自身が、PIVOTで重視していきたいことは?

武藤 やはりカルチャーづくりですね。共通の価値観となるカルチャーがしっかり育つと、細かなルールづくりや管理に追われる必要がなくなるんです。

カルチャーの定義は難しいですが、一言で言えば、組織のメンバー一人ひとりが大切にしたい価値観の集合体。所属するメンバーが、自分にとって大切な価値観をお互いにオープンに話して、擦り合わせていくことで生まれます。

価値観は人の数だけ多様なので、100%合致することはありません。でも、「ここだけは大事にしたいよね」というコアの部分を握り合っていれば、その都度の判断基準もブレずに足並みを揃えていくことができます。

腹落ちするまでのプロセスに皆が参加することが重要

―具体的な取り組みもすでに始まっていますね。

武藤 はい。最近では、PIVOTが掲げるバリュー「ハングリー&ノーブル」を、週1回一人ずつ、メンバー全員が自分の言葉で言語化して発表して意見交換する時間をつくりました。同じ言葉でも、その解釈は一人ひとり違って、お互いにその違いを理解する。腹落ちするまでのプロセスに皆が参加することが重要だと思っています。この習慣は、竹下さんの提案から始まったんですよね。
 
竹下 やってみたら、期待以上にいい時間になりましたね。ミッション・ビジョン・バリューの解釈は、「社長の訓示」で終わることが多いのですが、フラットに全員が話すほうが絶対にいいです。しかも、余裕が出てからとってつけたように導入するのではなく、何も売り上げの立っていない創業期から始めることに意味があると思っています。

正直言って、スタートアップの10分間は貴重です。その10分があれば、投資家や顧客とのやりとりに使ったほうがいいと考える経営者もいるでしょう。でもPIVOTは組織づくりも大事にしたいから、皆が一人の話をじっくりと聞いて、一緒に考える時間をつくります。毎月のように新しいメンバーが入ってきますが、着実にコミュニケーションの土壌ができていると実感しているところです。

あと、武藤さんが提案して実施した自己紹介のフレームワーク、「私のトリセツ」もよかったです。

武藤 自分の強みや弱み、働き方のルール、心地いいと感じる連絡方法やパフォーマンスが下がる要因など、同じフォーマットにまとめて発表する方法ですね。

自分のことは分かっていても、なかなかそれを周りに伝えられる機会はないので、まとめて発表する機会をつくりました。結構盛り上がりましたね(笑)

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↑ トリセツを発表するメンバー

EVPは「裁量」「刺激」「健康」「報酬」

―入社検討中の方に向けて策定したEVP(Employee Value Proposition=会社から従業員に向けて提供する価値)も吟味を重ねたと聞いています。竹下さんはPIVOTのEVP「裁量」「刺激」「健康」「報酬」の中でも何に共感しましたか?

竹下 特にいいメッセージだなと思ったのは「健康」というキーワードですね。会社として社員が健康を大事に考えている、そしてそれは一人ひとりのクリエイティビティを高めてサービス価値を高めるためだという目的が明確に示されているんです。だから、上限を決めて補助も出すという福利厚生があるのだと説明されています。

世の中にある福利厚生って使われないまま無駄になっているものがたくさんありますが、会社の意図が伝わると、受け取る側も「ならば期待に応えよう」と行動を起こしやすくなりますよね。実際、私もストレッチジムに入会して、おかげさまで顔色が良くなったと言われます(笑)。その分、もっとクリエイティブで価値のある仕事をしようという気持ちも強くなりました。

繰り返しになりますが、スタートアップが最初から“オマケ”ではなく“本筋”の施策として福利厚生を考えることが、大きなメッセージになるんですよね。

武藤 制度は本当に意味のあるものに厳選して、しかも「つくって終わり」ではなくアップデートを繰り返していくつもりです。いいと思って始めたものも、やってみるとうまく浸透しないことだってありますから、トライ&エラーの精神で制度ももっとフレキシブルに組み替えを続けていきます。まずは期間限定で試してみて評価と効果を測定していくことが大事ですね。
 
竹下 いいですね。コンテンツをつくる私たちにとって、武藤さんの仕事を間近で見ることが非常に勉強になっているんです。まるで組織づくりのリアルドキュメンタリーを毎日見ているようで、企業や経営者を取材するときの視点もずいぶん広がってきました。ありがたいですね。


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