ポーランド🇵🇱のサッカーとあれこれ

前書き

Windtosh様が運営されているとてつもなくありがたいマッチレポのアーカイブサイト「Windtosh's Cantina」
カタールW杯でかなりの盛り上がりを見せているが、過去のJリーグや欧州リーグの試合分析のみならず、監督分析や大学/高校サッカー部の分析といったかなりマニアックなところまでアーカイブ化されており、サッカーオタク大興奮のサイトとなっている。
特に自分としては、「この試合、このチーム、他の人はどう分析しているんだろう?」と気になったときに超絶使えるサイトになっているので、このサイトを作ってくださったWindtosh様にとても感謝しています。

さて、グループリーグで第1希望だったメキシコ vs ポーランドを引き当て分析をしたが、決勝Tでまさかのポーランドを引き当てるとは思っていなかった。なかなかわかりにくく、特徴や意図が掴めないチームなので、分析するにあたってとても不安である。あまり参考になる気がしない…

スタメン

ポーランド vs フランス

基本システム。
守備時、攻撃時、どちらの初期配置を基本システムと呼ぶかは人それぞれかもしれない。
とにかくこのような形。

ポーランド🇵🇱の攻撃

攻撃を分析するときに、ざっくり分けて三つの状況での振る舞いを分析するようにしている。

①ハイブロック守備に対しての攻撃
②ミドルブロック守備に対しての攻撃
③ゾーン3での攻撃

エコノメソッド的には「エピソード」と呼ばれたりするものに近い。
それぞれのエピソードでどのように振る舞うか?その集合体がプレーモデルとも言える。

ポーランドの攻撃を分析すると…

①ハイブロック守備に対しての攻撃
→明らかにそれが可能なとき以外はショートパスでの前進は試みず、GKやCBから長いボールを前線に送り込み、セカンドボールを回収する。

②ミドルブロック守備に対しての攻撃
→選手がポジションチェンジをしながらライン間でフリーになる選手を探す。ときにはSBが高い位置をとり、その選手が相手DFラインの背後のスペースを狙う。

③ゾーン3での攻撃
→レヴァンドフスキがサイドに流れて数的優位を作り、コンビネーションで崩す
→クロスを放り込む

フランスとの一戦では全てのエピソードが満遍なく発現したように思える。それだけフランスの守備が適当だった。
前から行ってもいいし、ミドルブロックでもいいし、ゴール前固めてもいいし、なんでもいいや。エンバペいるから。という感じ?

ポーランドの選手のクオリティを考えたときに、最も高いパフォーマンスを引き出せそうなのは①だった。レヴァンドフスキのエアバトルに対してジーリンスキ、カミンスキの高い機動力でセカンドを拾い、そこから素早く攻めるのが効率良く勝利に近づく方法のように思えた。特にジーリンスキはテクニックにも優れており、メキシコ戦でもよくセカンドボールを拾い、失わずに攻撃につなげていた。

数的優位を作ってダイレクトプレー


②に関しては、うまいこと行きそうな雰囲気も見られたが、1番の問題はポジションを「チェンジ」してしまうこと。つまり、ただある選手が移動するだけでなく、移動した選手のスペースを誰かが入れ違いに埋めてしまうことだった。
ポジション移動をすることの旨味は「局所的に数的優位を生み出すこと(相手の守備バランスを崩すこと)」「新たな質的優位を生み出すこと」である。
新たな質的優位を生み出せないまま、ただ選手が入れ替わっただけ、というのは自分達のバランスを崩していることに等しく、つまりそれは攻撃だけでなくネガティブトランジションにも悪影響を及ぼすことになる。
ミドルブロック守備に対してはチームとして、ボールの動かし方であったり数的優位の作り方であったり、優位性の把握が必要になるがそれができそうな感じはなかった。

ポジティブに見えたのは、クリホビアクがサイドに落ちて最終ラインに加わったときに1人のインサイドハーフがボランチのポジションを埋めて前進していたこと。ただ、フランスの守備の強度や練度を考えると、そこまで信用はできなさそう。

ポーランド🇵🇱の守備

守備ではざっくり分けて以下の3つを分析している。
①ハイブロック守備
②ミドルブロック守備
③ローブロック守備

ポーランドの守備は

①ハイブロック守備
→分析不可。フランス戦においてはほとんど見られなかった。

②ミドルブロック守備
→4-1-4-1というよりかは4-5-1のブロック。味方同士のギャップをほとんど確認していないため、スカスカな印象であった。
→WGが高い位置をとった相手のSBについていく傾向がある。

③ローブロック守備
→ボールがサイドにある時のエリア内の守備は良い。クロスを合わせる可能性の高い選手にキチンとマークをすることができていた。
→ミドルブロック守備時と同様、WGが相手SBについていくことでバイタルエリアがスカスカになってしまっていた。

ミドルブロック守備で非常に重要になるゾーンディフェンスの考え方で、「味方の位置を確認してギャップをコントロールする」というアイデアがああるが、ポーランドはそこがまるでできていなかったように感じる。
フランス代表が多くの選手を守備ブロックの外に配置し、ライン間でプレーする選手が少なかったことでそこまで大きなダメージは負わなかったが、例えばスペインとやっていたらと思うとゾッとするような守備だった。

ポーランドの守備でよく起こるのがWGの選手が相手SBについて行って最終ラインに吸収されること。
ボールホルダーにプレッシャーをかけにくくなったり、MFへの負担が大きくなったり、カウンターに参加できなくなることが問題として挙げられる。

失点シーンもWGのポジションが一つの要因になっていると言える。もちろん、最終ラインもかなり杜撰ではあるが。


エンバペの相手を引き出すサポート、ウパメカノの優しいパス、ジルーのアンバランスを見逃さない賢さ。狭いスペースで非常にレベルの高いプレーであったが、とてもイージーな失点の仕方に見えた。

まとめ

ラウンド16で姿を消したポーランドであったが、疲弊し、気力を感じられないプレーの連続で正直心配になった。心配する身分ではないんだけれども。日本代表の選手とは、持っているエネルギーが違うというか…画面の向こうからなのでわからないが

フランス相手に堂々と戦っていたデンマークと比べると、やはり欧州の中でも差が如実になってきているのかなと感じた。プレーする上でのアイデアが欠けるとなかなか上位には進出できない大会になっている気がする。

監督なのか?文化なのか?国内リーグなのか?育成なのか?協会なのか?

W杯で勝つことには何の意味があるのか?
そんなことを考えた試合終わりの深夜でした。


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