見出し画像

【鬱に寄り添う人】そもそもの間違い

「死にたい」
「僕が生きていても、誰も幸せにできない。」

そう言って、暗闇から抜け出せなくなっている彼に、何もできないどころか、苛立ちを覚えていた私。

彼の気持ちがまったく分からないというわけではない。自分も鬱に近い状態にはなったことがあったのだから。

でも、死にたいと思うほど苦しくなったことは無かったし、その言葉を聞くその時の私は鬱ではないので、なかなか気持ちをわかってあげられないんです。

そして、良かれと思った言葉で逆に怒らせて、

気持ちが伝わらない虚しさに、影響を与えられない自分の小ささに、何も変わらない彼に、苛立ち向き合うのを放棄したのが、過去の私でした。

それから一年程が経過し、私は『幸福人フー』という本に出会います。

自分が彼に向き合ってきたこととは異なるフーさんの心の持ち方や行動に驚き、自分は何も分かっていなかったんだと気づいたんです。

今回は、鬱を隣で見守る人々に向けて、そして今後も自分が鬱の人を少しでもすくいあげるために、書いていきます。

鬱の人を見守るときに、私たち自身がどう立ち歩き続け、どうやって手を差し伸べればいいのか。そんな迷いが晴れるといい。
そう思っています。

※本コンテンツには、紹介している商品(商材)の広告(リンク)を含みます。


▶︎上手くやろうとしていた

そもそもの間違いだったと気づいたことは、彼の鬱状態を自分がなんとかできると思っていたことなんです。

彼を変えないといけないと思っていたし、彼は変わるべきだと思っていたんです。


それに合わせて、自分自身も完璧であろうとしたんですよね。

悩んでいる人を前にすると、自分が完璧でなくてはならないし、間違えてはいけないし、相談の乗り方に答えがあると思っていたし、
パートナーとして完璧な私は彼を変えられる、そう思っていたんです。

別に構わないんですよ。

良かれと思って言った結果、逆に怒らせたとしても、上手くサポートできなくても、彼の鬱を治せなくても。

隣に居る人間として必要だったのは、完璧なカウンセラーなんかではなくて、ただ一緒に問題に向き合っていく覚悟だったんですよね。

そして、人のことを変えることはできないのだと、私は理解していなかったんです。

▶︎自分が影響されない


そして、何よりも大切だったことは、自分自身が影響されないってこと。
この点において、私は全然ダメだったんです。

どんなに近い存在であろうとも、共に歩んでいくのだとしても、いや、違うな、だからこそ「あなたはあなた、私は私」と切り分けて考えた方が良かったんです。

著書『幸福人フー』のフーさんはこれを自然にやっているんです。

彼(坂口恭平さん)が鬱になっているあいだ、もちろん彼のことを気にして最大限にサポートしている一方で、子どもたちと自分の生活をいつも通りに過ごしている。

これってとてつもなく強いこと。

私は、鬱に寄り添う人々は、あたりまえに飲み込まれるものだと思っていたし、それを彼のせいにしていたんです。

飲み込まれてしまうのは彼のせいではなくて、自分の問題だというのに。

前項で書いたこと、「他人(彼)のことは変えられない」との同じで、
自分が影響されるかどうかは彼に要因があったとしたも自分の問題。自分でコントロールできることなんですよね。

だから、鬱の人に関わる中で凄く大切なのは、鬱になる彼よりも、自分自身が彼に飲み込まれないことだったんです。

▶︎一人で助けようとしていた

そして、これまた間違いだったと気づいたことは、一人で抱え込もうとしていたこと、彼のことを理解しようとしすぎたことでした。

彼のパートナーとして、自分が一番に理解してあげないといけないし、自分がなんとかしないといけないと責任を勝手に感じていたんです。そうしないとダメなパートナーなんだと思っていたんです。

でも本当は鬱に寄り添う人は恋人一人じゃなくて、彼の友達や家族や知人や仕事仲間。

たくさんの人で支えていった方がよっぽどよかったはずなんです。

それなのに、私は彼が他の人に助けられたという話をされると、自分がたすけてあげられないという事実を突きつけられている気がして反発していたんです。

でも、恋人だろうが何だろうが、一人の人間の期待と要望全てに、一人の人間が応えることなんてできないんですよ。

だからよく、恋人ができたことで友人とあそばなくなると不満がたまるのもそうですけれど、

人にはいくつかの人脈が必要なんです。

元気になりたいときはこの人。
話を聞いてほしいときはこの人。
一緒にいて楽しいのはこの人。
癒されるのはこの人。
相談するならこの人。

みたいな感じで、それぞれに役割があるんですよね。

だから、自分が恋人だから彼の全てを理解しないといけなくて、彼が助けを求めるのはいつも自分でないといけない、なんて考え自体が凝り固まりすぎていたんだと思います。

不可能なことをしようとして、自分のことも苦しめていたんです。

別にいいんです。

彼が辛いときに、自分以外の人が助けてくれるのを見ているだけでも。

それでもいいんです。
恋人、パートナーって立ち位置をそんなに大きな存在だと思わなくて良かったんですよね。


▶︎それでもできることを

ここまでは、鬱の人を変えることはできないのだという前提で、寄り添う人がどうやって寄り添い続けるかについて書いてきました。

それでもやっぱり、できることなら助けてあげたい。

次回は、それでも彼らにできることについて書いていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?