左利きの弱点を克服する
全人口のうちだいたい10%くらいが左利きらしい。私もその選ばれし10%の一人だ。
そんな左利きの私が左利きであるがゆえに困っていることがある。
といっても「ハサミが切りにくい」とか「急須やスープ用おたま、缶切りが使いにくい」とかそういう話ではない。
それもあるにはあるけど、急須もおたまも缶切りもそうそう使うものではないし、ハサミは頻繁に使うなら左利き用のものが割とどこにでも売っているし、そもそも「左利きは右手を使うべからず」というルールがあるわけではないので右利き用の道具は右手で使う。
左利きは幼少の頃から右手専用アイテムに囲まれているので、右手もある程度使えるように訓練されているのだ。
Wikipediaで「左利き」のページによると完全な左利きというのは少数で、状況によって右も左を使い分ける人が多い。初めて知ったけどこのような使い分けを「クロスドミナンス」というらしい。なんか強そう。
私もクロスドミナンスである(早速使う)。字を書くのは左、箸を使うのも左、ハサミは右で使い、ボールを投げる時は右で投げるが蹴る時は左で蹴る。割と右手足を使う頻度が高い「やや右寄りのクロスドミナンス」である。右手を使っているものは、最初に試した時に右の方がうまくいったのでそのまま使っているのだと思う。
字が上手に書けない
そんなわけで左利きであってもたいてい問題なく生活できているわけだけど、それでも1つだけ長年困っていて何とかしたいと思っていることがある。
それは「字が上手に書けない」ということだ。
どれくらい上手に書けないかと言うと、私が手書きした文章を見た妻が「ノートにひじきが散らばってる?!」と勘違いするレベルの下手さ加減である。私の書いた字が乾燥ひじきに見えたらしい。言われた時は「うまいこと言うな〜」と笑ってしまったけども、笑って終わらせてはいけない。
今の時代手書きで字を書く必要に迫られることはほとんどないのだけども、それでも年に何回か封筒に宛名を書いたり、書類に名前や住所を記入することがある。そんな時はさらさらさら〜っと達筆な字で書きたい。その字を見るのが会社の総務のお姉さんとかだったらなおさらだ。
「左利きと字の上手さに関係があるのか?」という話だが、これがあるのだ。
ペンで字を書く時の事をイメージしてみてほしい。右手でペンを持つ時、ペンを45〜60度くらい右に傾けて持つと思う。横線を引いたり払ったりする時は進行方向に対してペンを引く形になる。
ところが左手でペンを持った場合、ペンは左に傾けて持つことになる。横線を書く時は右手の時と同じように左から右に向けて引くのだが、左手の場合は「引く」のではなく「押す」形になるのだ。
この「ペン先を紙に対して押さなきゃいけない」というのが問題だ。押すのは引くよりもコントロールしにくいのだ。引けばまっすぐに引ける線も、押すとへにょへにょの線になるのだ。なので左手で書いた横線はへにょへにょになる。なのにほとんどのひらがなかたかな漢字は横線を含む。その結果左手で書いた文章全体がへにょへにょになり、乾燥ひじきと見間違えられるような見た目になってしまう。
つまり「左利きは日本語の字を書くのに向いてない」のだ。下手で当然。ひじきであっても一応読める字を書いてるだけでえらいと思ってもらいたい。
右手で書く
左利きが日本語を書くのに向いていないなら、諦めるか右手で書けるようになるかしかない。私は選ばれしクロスドミナンスであり、ボールを投げるのもハサミで切るのも右手でできるのだから、字だって右手で書ける。
良い解決策が見つかって興奮したので、試しに右手でいろいろ書いてみた。
最初こそ幼稚園児の落書きみたいな字になったが、書いているうちに乾燥ひじきレベルまで上達した。左手が数十年かけて習得したレベルに数十分で追いついてしまったわけで、自分の右手のポテンシャルが恐い。
もうちょっと練習したら総務のお姉さんに達筆な字の書類を見せることができそうだ。右手で書いたらもはや左利きとは言わないのでは?という疑問は受け付けない。
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