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vs川崎戦が持つ意味とは?

【はじめに】

2021シーズンもいよいよ最終節、このメンバーで闘える最後の一戦である。この試合が終わればマリノスを去る選手も出てくるだろうし、新しく入ってくる選手も出てくる。もうマリノスを応援し始めて20年近く経つが、この出会いと別れの季節はいつまでも慣れないものである。。

また、結局今シーズンも声出しの応援は解禁されずに終幕を迎えた。1日も早くコロナが終息してほしいし、両クラブのサポーターによるチャントや歓声、悲鳴等が飛び交うあの雰囲気を体感しにスタジアムに戻りたいと思う。

【川崎フロンターレの現在地】

最終節の対戦相手は“絶対王者・川崎フロンターレ”だ。今年のリーグ優勝も含め直近5年で4度のリーグ優勝、連覇を目指す天皇杯でも準決勝進出を決めている。絶対王者であることに異論はないだろう。

直近5年で4度のリーグ優勝という成績だけでも川崎の強さは簡単に説明出来るが、個人的には6年連続最少敗戦数(2016年…6敗,2017年…4敗,2018年…7敗,2019年…6敗,2020年…3敗,2021年…2敗(37節時点))という数字にも注目したい。

リーグ戦で最も大事なのは勝ち点であり、敗戦数の持つ意味はほぼ無い。(※実際、2019年の川崎は『勝ち切れなかった』ことが3連覇を逃した原因だったわけだし。)ただ3〜5年の中長期の視点で見ると敗戦数が少ないことは苦手な相手を作っていないと解釈することもできる。川崎の強さはココにあると思う。特に今シーズンはこれをかなり痛感している。2021年のマリノスは胸を張って良いほど充実した成績を残したが、相性の悪い鹿島やC大阪に今年も負けてしまった。これは長いシーズンを闘う上で他クラブ(今年なら川崎)に対して勇気を与えてしまうデータとなる。『マリノスは確かに強い。でも相性の悪いクラブがあるからそこで勝ち点を落としてくれる』となってしまう。もちろん鹿島やC大阪に負けても2019年のようにリーグ優勝は出来るしそれが全てではないが、苦手なクラブは無い方が良いに決まっている。

ちなみに直近5年の成績だけを見ると川崎が唯一苦手??としているのがC大阪(5勝1分4敗)だが、昨年も一昨年もダブルを達成しており苦手というのはナンセンスだろう。

【最終節で求められる“勝ち点3”】

ということで本題に戻ろう。今回のvs川崎戦が持つ意味はズバリ“川崎に恐怖心を与える”ことと考えたい。誤解を恐れずに言えば今回の試合結果が今シーズンの成績に与える影響はほぼ皆無だ。順位が入れ替わらない以上、メディアから“消化試合”という位置付けにされても仕方ないところもある。

じゃあ本当に消化試合なのか?答えはもちろんNOだ。そして対戦相手が川崎ならば尚更この試合が持つ意味は大きくなってくる。絶対王者の地位から川崎を引きずり下ろすには“川崎に勝ち続けること”、これがマストである。

何故こう考えたか。答えは川崎が絶対王者に昇り詰めた過程にある。一昔前迄なら多くのサッカーファンが『常勝軍団=鹿島』と捉えていた。それはシンプルに総獲得タイトル数を見れば分かる話であり、ここ数年こそ無冠が続いているが他クラブが総獲得タイトル数で鹿島を上回る日が来るまでは鹿島サポがそれを前面に押し出しても納得がいく話である。シルバーコレクターと揶揄され続け、鹿島の引き立て役に回ることも多かったかつての川崎はこれを嫌でも受け入れざるを得なかっただろう。

そんな川崎はとにかく鹿島に勝ち続けた。2015年8月の敗戦を最後にリーグ戦の対戦成績(2016年以降)では8勝4分という圧倒的な強さで鹿島をカモにした。先日の天皇杯準々決勝でも3vs1で勝利。遂にリーグ戦だけでなく1発勝負のカップ戦でも鹿島に勝った。これだけ勝ち続ければあの鹿島でさえも苦手意識を感じざるを得ない。この時点で川崎はメンタル面で完全に上回っているし『結局川崎が勝つんでしょ?』という周囲の空気感をモノにした。

で、マリノスはというと。残念ながら今の川崎に対して苦手意識は与えられていない。直近の対戦成績も3連敗中でむしろマリノス側が苦手意識を感じる状況にもなりかねない。だからこそ今回の試合は絶対に勝たなければならない。2年連続でダブルを喰らうことが絶対にあってはならない。今回の対戦で勝っただけでいきなり川崎に苦手意識を与えることは不可能だ。但し、来年以降の覇権争いを考えると“恐怖心を与えること”は出来る。何故なら今のJリーグで川崎に対して“自分達のサッカーで真っ向勝負を挑める”のはマリノスだけだから。どのクラブもフロンターレ対策を練ろうとするがマリノスにその考え方はない。とにかく“自分達のサッカーで勝つ”。これで川崎を倒し続ければあとは“本当の意味で自分達が勝ち続けること”に集中するだけだ。そうすれば自ずと来年以降はシャーレを獲り続ける、そんな未来が近づいてくるわけだから。

【まとめ 〜喜田主将の想い〜】

最後に、2019年のリーグ優勝後に出版された『トリコロール新時代 舵を切った名門、15年ぶりに辿り着いたJ1制覇(菊池正典著)』の中で喜田主将が述べた想いを記載したい。

「『マリノスが勝つでしょ』って周りがイメージするところまで持っていきたいんですよね。それがどうしてかは分からなくてもいいし、なんとなくでもいいから『勝つよね』っていうイメージ。例えば、鹿島は周りもメディアの皆さんも含めて『強い』と言う。それで相手が勝手にリスペクトし過ぎて、自分たちの戦いができなくなることってあると思うんです。マリノスをそういうところまで持っていきたい」

喜田主将のこのコメントから2年が経ち、現在この空気感を持っているのが川崎だと思う。サッカーというスポーツは人間vs人間であり、メンタル面の影響が結果を左右する要因にもなる。だからこそ今回の川崎戦をキッカケにしてほしい。形式上は2021シーズン最終節だが、2022シーズン第0節の気持ちで臨んでほしい。

『2位も最下位も同じ』という考え方はマリノスにはない。“今後、川崎からシャーレを奪還出来る唯一の対抗馬”と周囲から見られる為にも是が非でも勝ち点3を!(※あ、自分達のサッカーを遂行すれば大然の得点王も間違いないよ!期待してる!)

最後まで読んでいただきありがとうございました。