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【建築屋】《中年時代》の七日間天国

 中学の同級生のお父さんのコネで転職した会社が、親会社に吸収合併されて間もなく、私は親会社社員の2つ歳下の先輩Tと1週間の秋田出張へ行くことになった。

 Tとは合併前から仕事上で絡むことが多く、お互いに知った仲ではあったが、私にとってTは、いわばお客様的な立ち位置にいた人だったので、まだそこまで気心知れた間柄というわけではなかった。

 その出張自体は、かなりイレギュラーな出張で、後にも先にも同様の出張は行われていない。1週間という期間と業務内容は聞かされていたが、詳しいスケジュールは現地で顧客と合流してから聞くことになっていた。

 そして、我々は現地にて驚愕の日程を聞かされるのだった。

 その内容というのが、業務は現地入りの日より連続で7日間通しで行われ、業務可能時間は17時ころから18時までとなる。そのため、我々の拘束時間は14時ころから18時半前後だという。そしてそれ以外は特に出来ることが無いため、フリーなのだというのである。

 なんと!ここ秋田での仕事というのが、七日間ほぼ半日仕事で、1日の作業時間は実質1時間半に満たないのだそうだ。当時、会社が支給していたPCはデスクトップであったためその他の仕事をする事も事実上不可能…

 我々は必然的にその日より、秋田の夜を堪能し尽くさざるを得ない状況に追い込まれたことを言い渡された格好となった。

 新潟から遠く離れた初めての地。ホテルは秋田駅前。19時から呑める状況。そして翌日の集合時間は14時。男二人。それが1週間…


 これは、まさに、パラダイス!

 季節は真冬だが、バカンス!

 もはやここから先は、ヘブンス!


 そして、浮かれきった二人は、秋田は川反の夜の街へと消えて行くのであった…

1週間分の出張旅費は秒で消えて行くのであった…

しかし、本気で1週間遊び通したのであった…


 この出張を経て我々は、もはや親友と呼べるような仲となり、生涯忘れることの出来ない1週間となった。


 この出張は今でも伝説として語り継がれている…
とかいないとか…🤭👌

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