第11話 【メタルハート 11話 記憶】
メタルハート 11
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第11話
【メタルハート 11話 記憶】
アイサは自分が斬られたことを知った。
身体が痛む。死の恐怖も感じる。だが、自分のことよりも……。
「ロウ!! ロウ!! 返事をしなさい!!」
さっきから隣で倒れている。ロウに目が入った。
倒れてから全く動かないロウを見て、ダードゥは言う。
「うーむ。手加減はしたつもりだったんだけどなぁ。まぁ、一人残ってれば情報は聞き出せるか」
ダードゥは頬を掻いてやれやれという顔だ。
「ロウ!! ロウ!! 起きなさい!! ロウ!!」
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声が聞こえる。俺を呼ぶ声が……。
懐かしい声だ……。
緑生い茂る森の中、俺は倒れていた。
何があったか分からない。だけど、左目が痛むのと、人々の悲鳴が頭の中に残っていた。
気がつくと俺はベッドの上にいた。天井は木造で近くには窓がある。窓からは日差しが入ってきていて、鳥の囀りが微かに聞こえる。
俺は立ち上がろうとしたが、身体が動かない。
左目の痛みはないが、身体中が焼けるように痛かった。
しばらくすると、部屋の扉が開かれて、そこから一人の少女が入ってきた。
水色の長髪で薄汚れた黄緑色の服を着た村人の少女だ。
「あ!! 大丈夫?」
少女は俺の姿を見て、すぐに近づいてきた。
俺は動かない体を無理して動かそうとする。それは人を恐れるように。
「待って、動いちゃダメだよ」
少女はベッドで暴れる俺を安心されるように手を握った。
「大丈夫。大丈夫だから」
怯える俺を落ち着かせようと……。
それからしばらく少女は俺の手を握って、落ち着くまで一緒にいてくれた。
俺は少しずつ落ち着きを取り戻す。
「待ってて……。お父さん呼んでくるから」
少女はそう言って俺から手を離す。そして父を呼ぶために部屋を出て行こうとする。
俺はその少女が行ってしまったら、また一人になってしまう気がしてしまう。
しかし、少女は俺の方を振り向くと、笑顔でこちらの方を向いた。
「大丈夫。すぐに戻って来るから」
その言葉と表情が俺に安心を与えてくれた。
それからその少女の父親がやってきて、それの症状を見た。
俺は大きな怪我をしていたのか。身体中が包帯で巻かれており、父親が看病をしてくれている間、少女もずっと近くにいてくれた。
それが彼女との出会いであった。
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今回からちょっと過去編のエピソードになります。この出会いが何に繋がっているのか。
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