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HSPかもしれないわたしが、「人生の夏休み」で健やかさを取り戻した話

この記事は、自分はHSP(繊細さん)だと思わずに、いつの間にか体を壊したわたしの体験談だ。むしろ当時は体を壊していることにも気がついていなかった。
これを読んだ誰かが、手遅れになる前に自分らしさと健やかさを取り戻してくれるよう願いながら、ここに綴る。

気付かないうちにストレスに蝕まれていたわたしの体

わたしの体は丈夫だ。
ストレスもあまり感じない。
30歳になるまではそう思っていたし、活動的に動いていた。

しかし30歳を過ぎてくると、身体に異変が現れ始める。

一番驚いたのは、歩けなくなるほどのめまい。
朝起きた途端、船の中にいるようなぐらぐらする感覚になり、最初は「なにこれー!」とおもしろがっていた。立ちくらみのようなものだと思っていたから。

しかし、しばらく経っても良くならず、ベッドから洗面所やトイレに行くだけでも一苦労。吐き気も催し、その日は仕事を休んだ。
風邪すらほとんど引かず、休むことなんて、旅行のときに前もって有休を取るぐらいなのに。

夫に付き添ってもらって病院に行き、「回転椅子で数十回くらい回ったような状態」と言われるも、原因はわからず。
よくありがちな、ストレスによるものと言い渡された。
ひたすら安静にし、TVも動きのあるものは見ずに、見るとしてもNHKのニュースで、キャスターがずっと画面にいるようなものにするようにと。

たいしてストレスなんて感じてないのにな、とそのときは不思議に思った。

でもそのほかにも、思えば20代からいろんな異変があった。健康になった今だからわかる当時の異変を記しておく。

・安静時に脈拍160を超え、かなり心音が激しくなった後、一瞬軽く意識が飛びそうになるような状態になり、1〜2分で治まる
・抜毛症のように髪を抜いてしまい、一部分が禿げた状態になる(その後、かさぶたになったところを剥がすのが癖になっていた)
・横になると、のび太並みにすぐに眠くなる(歯医者などでも寝てしまい、度々意識が飛んで起こされる)
・身体を掻きむしる(特に夜中)

母はよく、外でがんばってるから家では干物女だねとか、帰ってくると途端にスイッチが切れたように眠るけど大丈夫かと心配し、
夫は寝ている間に掻きむしるわたしの手を必死で抑えていたそう。

心臓はさすがに危ないと感じ、24時間心電図をつけたが、休みの日だったこともあり異変はなかった。エコーも異常なし。
機能的には問題なかったので、やはりストレスなのか?と思い始め、Apple Watchで毎日確認。
すると、案の定勤務中に頻脈が集中している。

仕事を減らし、「人生の夏休み」を堪能する選択

わたしは薬局と花屋のカフェで働いているが、職場のメンバーにも恵まれているし、そこまで激務ではない......とは言っても、合計週6日働いてたので、どこかで無理をしていたのだろう。
それに、転職をして職場は何度か変わっているが10年ほど薬剤師として働いてきて、そろそろやり切ったなー、他の仕事をやってみたいなーと思い始めた頃ではあった。

だから、薬局の仕事を減らし、「人生の夏休み」を堪能することにした。
現在は薬局で週1回、お花屋さんのカフェは週2回程度で働くスタイルに変えて、約1年が経っている。

自分をHSPだと認める

人生の夏休みを取ろうと思ったのは、自分が繊細さん=HSP(Highly Sensitive Person)かもしれないと気づいたことも大きな理由だ。HSPとは、まわりのいろいろなストレスや情報を感じやすい気質を持っている人のこと。このことに気付かせてくれたのは、あるときに出逢ったこちらの本だった。

実は最初に手を取ったのは、タイトルを見て「母が当てはまるだろう」と感じたからだ。しかし読み進めてみると、自分自身におもしろいほど当てはまる。

正直驚いた。
自分は結構強いハートの持ち主だし、割と鈍感力があると自負していたからだ。でもそれは、うまく生きていくために自分の本音や繊細な感性を封じてきたからなのかもしれないと、本を読んでわかってきた。

もちろん、わたし以上にたくさんの情報をキャッチしやすい人はもっといるかもしれない。
わたしなんかがHSPだなんて言ったら、陰で笑われてしまうかもしれない。
でも、他と比べるのではなく、まずは自分自身のことを受け入れ、認めてあげよう。

この本によると、ストレスによって体調を崩したときは、たっぷり休むことが必要だそうなので、その言葉に背中をあずけ、休んでみることに決めた。

好奇心旺盛なHSP

インターネットでもいろいろと調べたところ、わたしはHSPの中でも好奇心旺盛なタイプのようだ。このタイプは「HSS型HSP」と定義されている。人付き合いは好きだし刺激を求めてアクティブに動くけど、HSPの気質を持っているので情報をキャッチしすぎて疲れやすい。よく寝てしまうのもそのせいらしい。

確かにわたしは、すぐに行動を起こす方ではあるけれど、準備も徹底して行う心配性で完璧主義でもある。アクセルとブレーキを同時に踏むような性格で、二重人格なのではないかと思ったこともあるくらいだ。このことが、HSPかどうかわからない理由のひとつでもあったので、情報が手に入りやすい社会でよかった。

「人生の夏休み」が健康な心身を取り戻してくれた

人生の夏休み期間、自分の本音と感性を取り戻すために、「誰かのため」ではなく基本的には「自分のため」に生活をしている。例えば、陶芸や茶道などの習い事を始めてみたり、美術館巡りをしたり、家でハーブを育てたり。コロナ禍で制限はされるけれど、行ける範囲で好きだと思う場所に行き、好きだと思うことをして時間を過ごす。家でひたすらだらだらとする日もある。

本にも書いてあったが、決して「将来のため」とか「役に立つ」に惑わされない。今はゆっくり休んで、その後自分を「育てる」時間。
ちょうどコロナ禍で、刺激をセーブしやすいのもよかったのかもしれない。

するとどうだろう。
今までの症状が、見事になくなった!
夫も、わたしの掻きむしりがなくなったので熟睡できると喜んでいる。
髪も生え揃い、美容師さんも良かったねぇと言ってくれた。

バリバリ働く今までのわたしと比べたら、ほとんど稼いでいないし家事もやりたいときにしかやらないぽんこつな状態。でもこの選択を認めてくれ、支えてくれる大切な人たちがいて、本当によかった。

これからのわたし

ただ、このままではいけない理由がふたつある。

①お金がなくなる
今までの生活水準で、収入だけ減っている。
自由な時間は自己投資をしているため、さらにお金が減っていく。

②社会に貢献していない
稼げていない、仕事をしていないということは、社会に貢献できていないことにも繋がる。ボランティアなどもしていない。

だからこれからは、自分の健康を保ちつつ、社会に貢献していきたい。

今まで人生の夏休みの良い面ばかりを綴ってきたが、実は去年の緊急事態宣言で、外に出れず、夫も家にずっといる期間は、ひとりの時間が作れず壊れそうになっていた。物理的な休みがあっても、ひとりの時間がなければ意味がないのだと身に染みて感じた。

今考えているのは、特にHSPの人がとっておきのひとりの時間を堪能できる場所づくり。ひとりで何かに熱中できる空間を作りたい。作りたいイメージが、むくむくとわたしの中に湧き上がってきている。
一筋縄ではいかないかもしれないが、ゆっくり考えて行動していこう。

さいごに

自分は何者なのかを見つめて、自分らしく生きることって、すごく難しく思えるかもしれない。
周りのことばかりを気づかって、自分のために生きるなんて、罪悪感が生まれてくるかもしれない。

でも、きっと支えてくれる人がいる。
目先のことだけ考えるのではなく、休息をして自分を取り戻した後に、また恩返しをしていけばいい。

わたしもまだまだ模索中の身だけれど、これを読んだ誰かが、手遅れになる前に健やかさを取り戻してくれますように。

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