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還暦同窓会 🐟 その2


同窓会の案内看板

  会場は、天神の中心から、少しだけはずれているものの、
 若者で賑わっている街だった。
 そこは、私には不慣れな場所だった。

  「 そう言えば、ココの場所って、すぐにわかった?」
 誰かが切り出した。
 なんとかわかったよって、みんなが答えた。
 そして、案内の看板の話になった。
  いろんな所から参加者が来るからか、会場のビルの1階 道沿いに、
 同窓会委員の1人が立っていてくれた。ありがたいねー。
 その人に声をかけられ、お互いに同窓会の参加者だと確認しあった。
 ただ、同窓会委員が立っていた所に、同窓会の案内看板があったのだけれど、
 それには、『 還暦同窓会 』会場と書いてあったのだ。
 女子たちからは、ブーイングの嵐だった。
 「 わざわざ、還暦って要らんくない?」
 「 いらん、いらん!! 」
 そこにいた女子たちは、口々に言った。
 居合わせた同窓会委員の男子は、苦笑いするしかなかった。
 私も要らないと思った。
 だって、ココから入って行く人は、60 歳 ですよーって
 行き交う人に、言いふらしてる感じがする。
 還暦だけど、私たちは やっぱり、女子なのである。

自由な校風だった。

  私たちの学年に、女クラは2クラスあった。
 理由は、ただ 女子が多かったから。
  私の女クラの教室は、廊下の突き当たりにあって、ドアは
 1ヶ所にしかなかった。
 そのかわり、教室は広くて、両側が外に面した窓だったので、
 明るかった。
 だが、冬は寒かった。暖房は無かったと思う。
  あまりの寒さに、誰かが声掛けをして、制服のスカートの下に、
 体操服のジャージを履いた。
 そして、みんなの机を、教室の中央で、くっつけた。
 『 おしくらまんじゆう 』のイメージで。
  次の時間、何の授業だったか忘れたけど、ガラガラッとドアを
 開けて入ってきた先生は、さすがに驚いていた。
 それでも先生は、怒らなかった。元に戻せ、とも言わなかった。
 同窓会で、男女共学のクラスだった女子から、
 「 女クラは、楽しそうで羨ましかった 」と言われた。
 その頃の私は、自覚はなかったけど、けっこうワイワイと楽しく
 やっていたのかもしれない。

夫婦での参加者

  夫婦で参加している人たちがいた。
 学生の時から、付き合っていた夫婦もいたようだし、
 卒業後に、偶然再会した事がきっかけ、という夫婦もいた。
 友達に紹介されて、話してるうちに同窓生だとわかった、と
 いう夫婦は、不思議な縁を感じていた。

同窓会

  ある人が言っていた。
 「 卒業して20年経った頃までは、誰かすぐにわかったけど、
 さすがに今回は、わからない人が多いわぁ。」
 私は初参加だったので、途中の経過を知らない。
 記憶喪失状態で参加した私は、顔を見てパッと思い出すこともあれば、
 じわじわと思い出したり、同窓会が終わってから、やっと記憶が
 つながった事もあった。
 すぐに思い出せなかった人、ごめんなさい。

 還暦同窓会、楽しかった〜〜〜。
 また、元気に会いましょう。
 


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