夫がある日、立てなくなった⑥顔合わせと病気のカミングアウト

そういえば、私いつ自分の両親にオットの病気のこと言ったんだっけ。
と思い返してみる。
まぁ、厳密にいうと、言っているようで言っていないのだが。

2018年11月に入籍をすることにしたのだが、
その前に顔合わせ&旅行も兼ねて
オットの地元(かなりの遠方。飛行機使っても半日かかる)へ
行こうという話になった。

兄が骨肉腫になってから、小学生以降家族で旅行らしい旅行にいけなかったことがわたしの青春時代の闇みたいな部分もあって。
社会人になって貯めたお金をはたいて、両親2人分の旅行代は
私が出してあげる!と決め込んで、航空機の手配とかして。
正直、両親+わたし で旅行なんてしたことないしな。
一生こんなことないかも、とも思ったのです。
お互いの仕事の夏休みを調整して、8月か、
9月の連休当たりに考えていたんだけど…

5月に退院してから、思うように体調が戻っていなかったオット。
ちょっとのことで疲れてしまって、仕事にも行くのがやっと。
(でも仕事には行けてたんだよねー!今思うとすごい)

その時は、確か点滴治療で、毎月1週間だけ入院するっていうのを
始めた頃だったかな。

実は、一緒に住み始めたあたりで、
私が仕事の異動があって、県外通勤(ドアドアで片道2時間半)がはじまり。
今振り返ると、この不規則な生活(というか社畜生活)の
片棒を担がせてしまった私にも、病気を助長させた原因があるのかなって
未だに思っているのです。

なにせ、入院をしても、服薬をしても、
思うように体が良くならなくて。

そこで急に、オットが、
「やっぱり俺の地元に帰る自信がない…」
と言い出した。

今は、100%「そりゃそうだ!」と思えるんだけど
その時は、
「えー!手配だって全部済ませちゃったし。親にも言ってるし!」
とか、「え、もうキャンセル料かかるやんけ!」とか
「そもそもまだ日数あるのに、良くなるかもしれないのになにをそんな弱気な!!」とか思ってしまって。

2人に不穏な空気が流れた。
なにせ、オットの義母(義父はすでに鬼籍)は、膝の人工関節の手術をして
長旅に耐えうるからだではなさそうだったし。
顔合わせできないとか詰んだ…

って思ってたけど、結局、義母さまが
必死にリハビリしてくださって、こちらに来てくれることになった。
(ちなみに義母さま、これが初めての一人飛行機だったんだって。感謝)

なんとか顔合わせはできそうだけども、
入院やら、体のことはどのタイミングで両親に打ち明けるか
当時めちゃくちゃ悩んでて。

まぁ、どっちにしろいずれ言わないといけないし、
と思って、彼の地元へ行くのがキャンセル確定になったこのタイミングで
両親に打ち明けようと思ったわけです。

オットと、どこまで言う?なんて言う?
というミーティングを何回も重ねた。
当時は私も病気のことをあんまり理解もしてなくて。(能天気やな)
とりあえず、「筋炎」ってことで通そう。
となった。

しかし、うちの母は実は元看護師…
(今になって思うと母はリウマチだから、
ざっくりいうと同じ膠原病仲間やんけ)

深くツッコまれたらどうしよう。
難病なんて言った日には破談になるかも。

そんなことを考えつつ、できるだけオブラートに包みながら
彼の現状を説明した。

・もともとヘルニア持ってたが悪化して腰がつらいらしい
長時間飛行機とか移動が厳しそう
・それに加え、筋炎になってしまい、筋肉が炎症起こしてて
筋肉のバランスがうまく使えていないため、
立ち座りなどに不安がある。今治療中。

と、噓でもないけど、詳細も言わないという
社畜時代に磨き上げた絶妙なバランスのトーク。

母は疑心暗鬼にいろいろ突っ込んできそうな雰囲気だったが、
何とかなるさ派な父の

「あんな律儀そうなオットくんが、引っ越しのとき
ぜんぜん動かないから変だな~って思ったんだよね~
まぁ、大丈夫なんでしょ?」

の一言で救われた。

…と思ったのもつかの間。

「本当に大丈夫なの?
私は介護させるために嫁に出すんじゃないのよ」


というナイフよりも鋭い母の一言が
私の心臓に突き刺さる。

分かっております。母上。
だてに、障がい者の娘、きょうだい児、やってませんて。

健康が、なによりも大事で、尊いことは
私が人生でこの目で学んできたことですって。

でもさー、望んでこの病気になったわけやないやで。
それは母が誰よりも知ってるでしょうや。

でも、だれよりも知ってるから、
娘に苦労はさせたくないんだよなぁ。
それもわかってるんだ。

でも、私の人生だから。
応援してほしいんだ。



・・・もちろん、こんなことは言えなかった。
言えたらよかったね。
どうやって答えたかもう覚えてないけれど、
リハビリしたら治るから大丈夫、ってなだめた気がする。
どこまでも両親の前でいい子のままでいたいのかな。

結局、この一言をくらったおかげで
以降両親に、オットのことは言えないままでいる。
今の今も、隠しているわけじゃないけど
あんまり言わないことにした。

金銭的にも、体的にも
別に頼ってもいない。
なら必要以上に心配かけることもないかなと思ってる。

けど結婚した後で、母に言われた。

「オットくんの歩き方、
お母さんが一番しんどかった時の歩き方といっしょ。
ペンギンみたい。
お母さん、あの時はひとつの段差が
なんでこんなに大きいんだろう。って思ってた。」

うーん。やっぱバレてるよね。
母はやっぱり、こわい。


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