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トップ5%社員は効率よりも効果を上げることを重視する

トップ5%社員と、数値を用いて「仕事ができる」社員を定義づけしているタイトルに興味を持ち読んでみた。

組織の働き方をコンサルティングする株式会社クロスリバーのCEOである著者が、パートナー会社における人事評価上位5%社員の行動や言動を解析し、彼らの習慣をまとめている内容。
定量的に社員の行動を分析しており、本文でも具体的な数値を用いて結果を羅列している。また、85%程度の再現性が取れたと公表しており、論理的で信用できる内容である。

特に耳に痛かった内容は、「95%社員は仕事の効果よりも効率を上げることで満足する」という項目だった。
20年前までは、人事評価は成果よりも努力が重視されていた。しかし、働き方改革が進む現代では、短い時間で成果を上げる社員が重視されるようになり、努力よりも成果が評価に直結している。
95%社員は数打ちゃ当たれ!の精神からか、複数の仕事を進めることで成果をあげようとする。そのため仕事方法の効率化に励み、一つ一つの作業は短いがなかなか効果が上がらなくなる。つまり、成果より努力に励んでしまっている。
これに対して5%社員は、需要な仕事を短時間で行うことを効率の良さと捉えている。成果に直結する仕事のみを行うことで、95%社員よりも短期間で複数の成果を上げることができる。

これまで私は研究を効果的に行うためには研究効率を上げる必要がある!と、効率を上げるための方法ばかり考えていた。実験の効率を上げるために効率の良いプロトコルを膨大な論文を読んで探す、自分が優秀であるように見せるためにスライドの枚数を無駄に増やす、複数の方策を試すために研究室に泊まって寝ずに実験する、、など、、。思い返すとキリがないほど自分が努力する姿に得意になっていた。
本書にもスライド資料などを完璧に作るために時間をかけることは無駄な努力であると記してある。「複数の発表資料作っていたので成果が遅れました。(努力して偉いでしょう?)」と主張していた過去の自分が恥ずかしい。
これからは5%社員の仕事習慣をまねて、自分の今の努力が研究成果に直接つながっているか?を自問自答しながら研究を進めたい。

再現性の高い分析を見ることで、自分の努力や習慣が正しいのか、それとも自己満足になっているのか、をチェックできる良書である。
定量解析の結果をまとめるアプローチも信用できる。
どのような分野にでも活用できる内容かと思う。ぜひ読んでみてください。



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