『独白』

私はビッグオーとの出会いを小学生のころ読んでからその思想に取りつかれている感じがあるな 共感を嫌ってるというか忌みしてるというか 自分に必要なもんは自分と違うモノだと信じてるところがある けど結局それで行きつく所はサイクルだ。
くるくる回って渦の中、一人で鬱になる 人生じゃんコワ


オレは宇宙人くらいの違いが良かった、グレイタイプくらいの。 ミミズくらい違うのは嫌だった。 人権が欲しいからとりあえず、穴から出ることにした。 途中であきらめる自由もあったはず。 けど、それは過去でしかない。夢から起きると、居るのはいつも自分だけだった


何処かのじじいが人生は蝶の夢だといった。 子供の頃、好きな子が自慢げに生け捕りにした蝶を見せびらかしていて。 僕は箱ごと叩き潰した。その時、蝶のお腹の中から吹き出た物体が人生だと思うと気が晴れた。 その子は何でいつも意地悪するのというから好きだからと答えると大泣きした。 人間って複雑


帰り道の側溝に一枚だけ新しい蓋があった。
妙に気になってしばらく見ていると学校の先生が通りかかった。
(彼女は私の学校が研修中の若い臨時教員で、背が低いので高校生の様だとからかわれていた。休み時間になると開いた窓から校庭で遊ぶ子供たちを眺めるのが常で、その時ゆれる長髪の先がほんの少しメダカの水槽に浸っているのを知っているのは、部屋に残る私だけだったのかもしれない)

「そこね、綺麗でしょ? 3年前の冬におばあちゃんが落ちちゃって死んだとこなの、タオくんも気をつけてね。雪が降ると穴が見えなくなるから」
そういう言って、駅に向かって歩いて行った。

帰りながら、気のせいかもしれないけど。「おばあちゃんが死んじゃった」と言った時、心が躍っているように聞こえた。声の抑揚で内面を覗き込むのは、ほとんど趣味のようなものだった。
頭の中で凍ったおばあちゃんが春の陽気にあてられて溶けると、地から吹き出す花と一緒に踊る光景を思い描きながら帰るとすぐ家に着いた

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