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アムステルダム郊外でヘンテコな家を見る

アムステルダムから電車で15分ほど揺られると、Zaandamという町に着く。ザアアンダムと発音したいところだが、普通にザーンダムで良い。
緑の家が左右上下にいくつもくっついた不思議な建物がある町だ。

Zaandam。この町のことは2018年にInstagram で知った。
知らない誰かが投稿したこの不思議でヘンテコな家の写真をみた瞬間に、うわあぁぁ行ってみたい。と思った。

わたしは時々、そういった衝動に駆られる時があって、そう思ったらなかなか止められない。
オランダ買い付けの『ちょっと寄り道』はこのZaandamに決まった。

Instagram で行きたい場所を探すようになったのはこの少し前からのこと。
わたしは、Instgramがサービスを始めた2010年10月からアカウントを持つ古参のユーザーだ。
はじめてスマホを持ち始めた頃に写真を加工するアプリを探していてApps Storeで見つけたのだ。

当時は、ましかくの写真をただ載せるだけのシンプルなしくみで、フォローした人の写真がすべて投稿した順に流れてくるだけのものだった。

もちろん広告もなく、「関連性が高い写真」を表示させるアルゴリズムもなく、余計なものはなにもない。動画なんてそもそもスマホで撮影できなかったはずだ。

見知らぬ国の名もなき路地を見つけたりとか、どこかの国のフォロワーさんと一生けんめい英語でやりとりをしたりとか、このアプリを開くとどこでもドアを開けるみたいにわくわくした。
当時はノスタルジーな写真加工が流行っていたこともあってか、IG(当時はこう呼んでいた)はいつもふんわりとフィルターがかかった異世界のような空間だった。

2010年〜2011年のフィード


時は進み2018年、このころにはInstagram内に検索機能が登場していただろう。はっきりと記憶はしていないがオランダというキーワードをきっかけにして、わたしはこのZaandamという町を知る。

そうしてこの観光地でもなんでもない町へ、ヘンテコな家を見るためだけに足を運ぶこととなったのだ。

さて話を戻そう。実はInstagramに多めにふれてみたのは、何を隠そうこのヘンテコ家訪問が意外とあっさりと終わるためである。

駅に着くと、この家はすぐ近くにあるらしいことがわかった。わたしはもったいぶってコロッケを食べたのだが、食べながら駅を出るとコロッケ越しにもう家が見えてきた。

オランダ語はわからないのでロシアンルーレット式に選んだコロッケ
コロッケ越しの家
じゃーん
ばああん

ヘンテコな家は何食わぬ顔で駅前に建っていた。秘境とか、森の中とかでなく、普通に駅前だった。

それもそのはず。この建物の正体、実はホテル。しかも、以外といいホテル。

インテル ホテルズ アムステルダム ザーンダム
ちゃんと予約もできます。

この緑の家はオランダ・ザーン地方の伝統的な様式の家屋らしい。
落ち着いたオレンジ色の三角屋根に、木でできた緑の壁、白い窓枠。

単体でじゅうにぶんにメルヘンな存在であるこの家を、左右上下にくっつけてしまったなんて、罪深い。

しかしながら左右上下にくっつけるとよりメルヘンになるのかと思いきや一変、アート作品みたいになる。

なかなか引きで写真を撮るのに苦労をしたけれど、ひとしきり撮影をすると「この家をみたかったんだよ‥!」欲が満足したらしかったので、ぶらりと町を歩いてみることにした。
この町はどうやら、その緑の伝統的な家をモチーフにアートみたいな町づくりをやっているらしかった。

おもちゃの王国かゲームの世界に迷い込んだかのよう

わたしは、このヘンテコな家を見たかっただけなので、それ以外のことは何も調べずにここへやってきた。
今さらながら検索してみると、ザーンセスカンスという風車群の見られる村が近隣にあることがわかった。この場所は偶然にも別の機会に訪れたことがあったので、次作にでも書いてみようと思う。

てきとうに歩いているとごく普通の住宅地に辿り着いた。なんてことはない日常が流れている場所。買い物帰りらしいカップルや、外で遊ぶ子供たち。
わたしもまた、その風景の一部になったようにそれとなく町を歩いてみた。途中、小さな運河のような水辺もあったりして、やはりここはオランダなのだと思った。

オランダの住宅地はどこも住みやすそうだなと思う。わたしの考える住みやすい住宅地の条件は、水辺があること、緑があること、駅があること。
それに猫がいれば完璧。

手入れされたお庭もすてき

遊んでいる子どもたちを見ていたら日が傾いてきたので、近くのバス停からアムステルダムへ戻ることにした。ここ数年はGoogle mapを使うと簡単に経路検索ができるようになって、スマホのない時代はどうやって旅をしていたのだっけと思う。

バスから鉄道に乗り継ぎ、猫が歩いている完璧な住宅地の宿に着いた。オランダビールのプルを開けてグラスにそそぎ『今日はヘンテコな家を見たなあ』と考えた。しばし初夏の夜静かになった空気の中でぼーっとしていた。

地味な旅だと思うけれど、そう悪くはないものだ。一人旅ならこれくらいでわたしは十分。いく場所は一つ二つにしぼって、あとは成り行きまかせ。わたしは、わたしらしくてけっこう好きなんだ。

さて、次はどこへ寄り道をしようかなあ。

食事も地味です。(何を食べているのかもはやわからない)
買い付けにも行きました(アムステルダムのがらくたマーケット…収穫無し)

読んでくださってありがとうございました。次はオランダの風車群を見に行く話です。たぶん。


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