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54. 娘の言葉

可奈は私に会いたいと言ってくれるだろうか?

まだ幼いうちに一年以上もの間引き離されてしまったので、正直自信はなかった。母親という存在は知っていても、私の顔は忘れているかもしれない。

当事者の友達も夏生も母も、皆な「絶対大丈夫!」と言ってくれけど、不安は拭えなかった。

もしも会いたくないと言われたら?

本当に、裕太の言うように「ママと会いたいと言わない状態」だったなら、可奈が片親疎外になっている可能性は充分にあった。

そうなってしまったら、やっと見えた希望の灯火が消えてしまい、マイナスからの再スタートになってしまう。今の私は、岐路に立たされているのだ。

それからは「可奈がママに会いたいと言ってくれますように」と、祈るような気持ちで日々過ごした。
氏神様の社の前を通るときは必ずお参りし、願をかけた植物を育て、可奈が欲しいと言った白いドレスワンピースを作った。

眠る前は可奈が幸せであるように、守られるようにピンクの光に包まれている姿をイメージして眠った。
逆にいうと、子に会えない親ができることは、このくらいしかないのだ。

可奈が先生と面談をした日の午後、裕太から電話が鳴った。

「可奈が会いたいと言ったから、再来週、診察の後に会わせようと思うんだけど、予定はどうかな。」

良かった、可奈は私に会いたいと思ってくれてるんだ!!

ちょうどその日は仕事も休みだったので、私は二つ返事でオーケーした。

可奈に会ったらなんて言おう?あぁ、まずはぎゅっと抱きしめて、たくさんたくさん愛してると伝えたい。。

それから私は、子どもに再会した時はどうするのがいいのか、経験者の人たちに聞いて回った。「普通でいい」といっても、立会人がいるので、そうもいかない。服装も見られるだろうから、無難なもの買いに行った。

通常、引き離された子どもとの最初の面会は、「試行面会」といって30分にも満たないものを裁判所でして、今後の親子交流の参考にする。(実の子どもに会うことを「面会」と呼ぶのは私は納得がいかない。)

私の場合は病院での面会だけど、今後の可奈との関係はこの日にかかっていて、裁判所で行われる試行面会と大差なかった。


再会は、主治医と裕太の立ち合いの下に行われる。そんなセッティングに納得はいかなかったけど、しょうがない。

とにかくやっと、最愛の娘に会える!!

嬉しくて嬉しくてたまらなかった。


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ある日、突然、加害者に。〜子どもを奪われた母親の物語〜
この話は私の身に実際に起きたこと。ある日突然、最愛の娘と引き裂かれてしまいました。親子の引き離しは誰にでも起こり得る問題です。一人でも多くの方にこの問題を知ってもらえますように! (プライバシー保護の為、設定は若干変えております。)