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VSうつカノジョ(2)

「6月9日」

朝目が覚めて携帯で時間を確認する。
やばい、出発20分前。
まだまだ夢から目覚めそうにない彼女を尻目に猛ダッシュで準備を進めた。
シャワーを浴びながらこの後如何に効率良く準備するかを考えていると

「明日おねぇとユニバやねん」

と昨日ウツカが言っていたことを思い出した。
絶対間に合わんやんと思ったが放って行くのも可哀想なので風呂から出たら起こそうと思う。

シャワーを止めバスタオルで拭き下着を履き髪を乾かしてワックスを付ける。
何度やっても飽きるという感情すら湧かない日常が今日も始まった。

寝室にウツカを起こしに行くと
うん、うーん、、、
という声なのか呻き(うめき)なのか分からない音を出して元の体制から動く気配は無い。
とりあえず冷蔵庫に入っていた残り物を弁当に詰めてもう一度ウツカの体をゆすりに行った。

うん、うん、起きるよぉ

と、言っているだけのウツカ。
これはもうだめだ。
これ以上起こしてたら僕が遅刻する。
ごめんねユニバ。行ってきますウツカ。

ロードバイクに乗って今日も颯爽とアパートのロビーを後にする。
理想は「颯爽と」だが、今日の表情は鬼よりも眉間にしわを寄せて出てきただろうと思う。いつもより5分も遅い出発だった。
なんとかバイトには間に合ったものの、暑すぎてやる気どころではなかったが。


何となく時間が過ぎていき、今日も1日の業務が終了した。
家に着くとウツカが照れてるような、何か悪い事をして隠している子供のような顔をして待っていた。

「どうしたん」
「おねぇに怒られた」
「何時に起きたん」
「3時。両てのひらを上にあげたスタンプ送られてきたよ。もうお手上げだよーってゆってるよ」
「あーね」
「やから無視してるねん」
「いやウツカがしてんのかい」
「起きれんかったもん」
「昨日遅かったもんなぁ」
「昨日のことあんまり覚えてないもん。覚えてるけど覚えてないねん。」
「ほう、感じすぎて?」
「薬飲んでたから途中から記憶ないねん」
「なるほど。じゃー風呂入ってくるわ」

と言いながら米だけといでセットする。


昨日は僕が飲んで帰ってきた。
久しぶりに、本当にとても久しぶりに友達と酒を飲めることが嬉しくてついつい新しい缶に手を出してしまっていた。無論、公園でだ。
そんなに飲んでないと思っていたが帰ってくると結構お酒を取り込んだことを自覚した。
ウツカにお酒の匂いがするよーくさーい、と言われながらシャワーだけ浴びてすぐにベッドに向かった。
寝たさ100%だったが、ウツカが横にくるとお酒が入っていることもあってか無性に触れたくなった。
頬に触れ、唇を寄せていった。首に耳に舌を這わせ、服の下に手を滑らせていく。

いつもよりかなり激しかったはずだが途中から覚えてないのか。
これは僕もまだまだだな
あまり気にしない事にして

「一緒にお風呂入る?」

と聞くも今日は振られてしまった。
仕方がないので扇風機を出すことにした。
最近ウツカが暑いということが増えたからだ。

家賃を抑える為に借りた築ウン10年のアパートの一室はエアコンが着いている訳もなく、これからの夏が思いやられるくらいにはすぐそこまで暑さがやって来ている。

なんでだろうか。今日はなかなか風呂に入れない。

お腹が空いたし先にご飯でも食べようか。
では、また次の機会に。


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