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2024北大国語/第二問/解答速報

【2024北海道大学/国語/第二問/解答速報】

出典は渡辺裕『サウンドとメディアの文化資源学 境界線上の音楽』。筆者は音楽学者。同年共通テスト第一問も同出典。

問一「『本来の姿』を『ある』もののレベルに求めようとする」(傍線部A)とあるが、それはどのようなことか。30字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
本来の姿が一つに定まると想定し芸術・文化の保存を目指すこと。(30)

〈参考 S台解答例〉
作品の完成当時の純粋な姿形を、一義的に定位しようとすること。(30)

〈参考 K塾解答例〉
正統的なものは、作品自体として一義的に実在するとみなすこと。(30)

〈参考 Yゼミ解答例〉
作品を完成当時の一義的で純粋な形に定めようとすること。(27)

〈参考 T進解答例〉
作品の正統性を存在する作品そのものに求めようとすること。(28)


問二「『保存』と『活用』との関係といった、これまたしばしばアポリアに陥ってしまうような問題」(傍線部B)とあるが、「保存」と「活用」の間にはどのようなアポリアが存在すると考えられるか。50字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
本来の姿を一つに想定し保存を目指すと、実際の多様な活用のあり方と矛盾し、保存と活用が両立しないこと。(50)

〈参考 S台解答例〉
作品完成当時の姿の保存を試みると、それ以外の活用のあり方は作品の正統性を損ねることになるという問題。(50)

〈参考 K塾解答例〉
作品を唯一無二の本来の姿として保存しようとすれば、自ずとその姿から逸脱した活用が生じてしまうこと。(49)

〈参考 Yゼミ解答例〉
もとの機能を残して「活用」すると作品の変形をもたらし、逆に姿を変えず「保存」すると機能が失われる。(49)

〈参考 T進解答例〉
本来の姿を作品そのものに求めて一つの形を保存することは、その他すべての活用を妨げるというアポリア。(49)


問三「文化全体の多元的なありかた」(傍線部C)とあるが、文化が多元的であるとはどのようなことか。文中の言葉を用いて40字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
文化は相反するコンテクストに応じた多様な要素が並立する全体としてあるということ。(40)

〈参考 S台解答例〉
文化は様々な社会的状況下で歴史的に形成され変容し、多様に立ち現れるということ。(39)

〈参考 K塾解答例〉
文化は、多様な要素の位置関係や、それらの間に働く動的な力学に支えられていること。(40)

〈参考 Yゼミ解答例〉
文化は、その置かれた社会的コンテクストに応じて複数の意味が交錯し合うということ。(40)

〈参考 T進解答例〉
複数の社会的コンテクストとそれに応じた複数の正統性のあり方が存在するということ。(40)


問四「日本寮歌祭」(傍線部D)の映像を見た人が、「何となく『これぞ寮歌』と感じ、そこにあるある種のオーセンティシティを見てとる」のはなぜか。60字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
文化は変容するという視点が見落とされ、昔から継承されたスタイルで正統な後継者により歌われているという思い込みが強いから。(60)

〈参考 S台解答例〉
伝承を目的とする旧制高校のOBが作った団体が主催しており、その実際のOBの本来のだみ声、蛮カラスタイルで歌っているから。(60)

〈参考 K塾解答例〉
寮歌の普及に携わる実際のOBたちの、だみ声、蛮カラスタイルで歌う姿が、寮歌の正しいあり方に合致するように思えるから。(58)

〈参考 Yゼミ解答例〉
本来の歌寮のあり方であると人々がイメージするスタイルが、OBたちの活動を含んだ様々な歴史的力学により生成されたから。(58)

〈参考 T進解答例〉
実際のOBがそれぞれの学校の歌を歌っており、主催する団体が正しい普及、伝承を続け、正統性を追求してきた成果でもあるから。(60)


問五「『なる』ものとしての『音楽』という視点」(傍線部E)について、80字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
音楽は本来の姿がそれ自体として予め「ある」のではなく、文化的枠組みに依存して成立し、実際に活用されながら変容し、複数の正統性が交錯して展開するものだという視点。(80)

〈参考 S台解答例〉
音楽の正統性は、様々な社会的状況や力学の中で、複数の異なるものが交錯しながら歴史的に活用、生成され、変容されてきたのであり、今後も同様に推移してゆくという視点。(80)

〈参考 K塾解答例〉
音楽作品の本来の姿という概念は、文化的な力学の中で、さまざまなコンテクストやメディアを通じて歴史的に形成され、変容しながらそのつど立ち現れてくるという見方。(78)

〈参考 Yゼミ解答例〉
音楽を、客観的に特定される原型を前提とせずに、使用されるコンテクストや接触する異文化などの力学によって、常に変化しつつ推移するものとして捉えようとする視点。(78)

〈参考 T進解答例〉
様々なコンテクストとメディアのなかで歴史的な存在として現れ、社会的な複数のオーセンティシティが交錯する境界線上のダイナミズムの現場として音楽を捉えるということ。(80)

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