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2020東京大学 国語 第四問 解答速報

出典は谷川俊太郎『詩を考える〜言葉が生まれる現場』。

関連 2019京大国語/第二問/大岡信・谷川俊太郎『詩の誕生』↓↓
https://note.com/pinkmoon721/n/n43989d3a0b3e

問一「作品をつくっているとき、私はある程度まで私自身から自由であるような気がする」とあるが、それはなぜか、説明せよ。(60程)

〈GV解答例〉
詩人である筆者にとって無限定な読者に向かい創作物を提示することは、自己を超える何かを声と言葉で媒介することで、自己は無に帰すから。(65)

〈参考 S台解答例〉
作品とは、特定の現実を生きる自己から離れ、個を超えたものに身を委ねることでおのずと生成してくる言語世界であるから。(57)

〈参考 K塾解答例〉
作品をつくるときには、一個人として言葉を紡ごうとする意識は影を潜めていき、言語共同体に立脚した無名性を感じさせる言葉が立ち現れるから。(67)

〈参考 Yゼミ解答例〉
作品をつくる時、作者は日本語という言語共同体に内在する力を感じ、自身の根源にある言語に触れることで私的な自己から解放されるから。(64)

〈参考 T進解答例〉
作品は、日本語という言語共同体に内在する力の働きに捉えられた自己が、自然に無名の存在に化していくなかで立ち現れる言語世界から生み出されるものだから。(74)

問二「そこで私が最も深く他者と結ばれている」とはどういうことか、説明せよ。(60程)

〈GV解答例〉
自己の言語共同体の経験の総体をとりこみ、普遍の表現に向かって言葉を発する地点において、自他が未分で不定形の根源性があるということ。(65)

〈参考 S台解答例〉
創作時の発語が言語共同体の経験の総体に根ざしたものとなることで、他者との根源的なつながりが実感されるということ。(56)

〈参考 K塾解答例〉
不定形な自己の根源性に根ざして、自己を超えた何かを媒介する創作者は、同じ言語を話す人々と歴史的にも予見的にも総体として深く結びつくということ。(71)

〈参考 Yゼミ解答例〉
自己を超えた存在の媒介者として創作する時、自身の存在の根底にある民族の経験の総体に触れることによって他者と深くつながるということ。(65)

〈参考 T進解答例〉
超越者を媒介すべく内在化される言語共同体の経験の総体に通じ、発語の源であると作者が信じる、不定形な自己の根源という深部で、他者とつながるということ。(74)

問三「そのような作品の成り立ちかた」とはどういうことか、説明せよ。(60程)

〈GV解答例〉
時代を経て作者から離れ普遍性を獲得した作品も、元は特定の時代と社会に生きる作者が対象から言語世界として引き出したものだということ。(65)

〈参考 S台解答例〉
作品は、社会の一員としての自らの言葉の意味や価値への責任から切り離されたところで、普遍的なものとして立ち現れてくること。(60)

〈参考 K塾解答例〉
特定の社会に帰属し、創作者でも読者でもある立場でもある人物を通して、言語共同体に内在する力が導き出され、人々と広く共有される作品が成立すること。(72)

〈参考 Yゼミ解答例〉
作品が時代を超えた普遍的な力をもつために、創作時に作者が創作者であると同時に、同時代の読者であるという言語世界が成立していること。(65)

〈参考 T進解答例〉
作者が、内容の真偽についての責任など一切取らず、言語共同体に内在する力が働く自己の根源性に根ざして創作することで成立し得た言語世界であるということ。(74)

問四「作品を書くときには、ほとんど盲目的に信じている自己の発語の根を、文章を書くとき私は見失う」それはなぜか。(60程)

〈GV解答例〉
自己を表現する文章では、作品の発語を生み出す根源から自他を切り分けた上で、対象化した自己を論理的に他者へと架橋する必要があるから。(65)

〈参考 S台解答例〉
文章で自分の考えを伝える際は、意識が自己へ向かい、他者との根源的なつながりが絶たれてその間隙を論理で埋めることになるから。(61)

〈参考 K塾解答例〉
作品を書く行為は言語共同体に内在する根源的な力に根ざしているが、私的な文章を書くときには他者に通じる論理を自分自身で見出す必要があるから。(69)

〈参考 Yゼミ解答例〉
作品の創作ではその言語を使う民族の経験の総体に身を委ねることができるが、文章では個として読者に論理的に説明するしか方法がないから。(65)

〈参考 T進解答例〉
文章で自分の考えを書く際には、自分の根源性を含む言語共同体に内在する力を排し、私的存在たる自分を内省した上で、他者に通じる論理を探さねばならないから。(75)

#東京大学 #国語 #解答速報 #谷川俊太郎

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