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2016筑波大学/倫理/第二問

【2016筑波大学/倫理/第二問】

問二 商業的行為の位置づけをめぐるカルヴァンと石田梅岩のとらえ方を比較し、両者の類似点と相違点を論ぜよ。(400字以内)

〈GV解答例〉
江戸期の商人学者である石田梅岩は「商人の売利は士の禄に同じ」とし商人の利得を正当化した上で、正直・勤勉・倹約の徳を説いた。その点で、スイスで宗教改革を主導し商活動に伴う蓄財を是認するとともに、勤勉・禁欲の徳を説いたカルヴァンに比せられる。一方、石田の思想は、士農工商は職分の違いに過ぎぬとしてその間の社会的差別を否定しながら知足安分を是としたように、封建秩序を逸脱するものではなかった。また石田を開祖とする心学も儒・仏・神をあくまで世俗道徳に応用したものにすぎなかった。これに対し、カルヴァンは救済予定説を説いて神の絶対性を確認するとともに、職業は神の召命であるというルターの教えを継承して世俗の生活を超越的存在との関係の中に位置づけた。これにより苛烈な信仰が社会変革につながる可能性が胚胎され、のちのピューリタン革命やヴェーバーの指摘する資本主義の発展のような世界史的大転換をもたらす契機となった。(400)

〈ChatGPTくんの答え〉
ジャン・カルヴァンと石田梅岩の商業的行為の位置づけは、宗教的・倫理的観点から異なるが、いくつかの類似点も見られる。カルヴァンは、商業活動を神の召命と捉え、労働と富の蓄積を神への奉仕とした。商業活動は誠実さと勤勉さを伴うべきであり、不正な利益追求は否定された。一方、石田梅岩は商人の徳を重視し、商業を通じた社会貢献を説いた。商業は人々の生活を豊かにし、社会の安定を図るものであり、商人は信用と誠実を持って取引に臨むべきとした。

類似点として、両者とも商業活動を道徳的に肯定し、誠実さと社会的責任を強調している点が挙げられる。しかし、相違点も明確である。カルヴァンは商業活動を神の意志と結びつけ、宗教的義務として捉えたのに対し、梅岩は世俗的な倫理観から商業を評価し、商業が社会全体に及ぼす影響を重視した。また、カルヴァンの思想はプロテスタント倫理に基づくのに対し、梅岩の教えは儒教の影響が強い点も相違として挙げられる。

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