見出し画像

埋葬の起源について


以前書いた死者の尊厳についての記事の追記だ。
余談かもしれない。
最早寄り道の様なこぼれ話かもしれない。


今回は埋葬について少しだけ書く。


前回、五輪開発でジャンジャカ江戸時代の墓が荒らされジャンジャカ人骨が掘り出されて杜撰な扱いをされていることを切り口に死者の尊厳について書いたわけだがそもそも埋葬とは何か。

動物の中でも他個体の死を悼み、そして尚且つ『埋葬』という習慣を持つ種は極めて稀だ。

自分以外の個体は全て貴重なタンパク源であり喰わない手はない、そもそも『死』や『仲間意識』が発達するほどの高度な知能や社会性を持ち合わせていないなど、埋葬という概念自体が高次元的なものでありその域まで辿り着ける生物は極めて少ない。

偶発的なものでなく、その種の中で広く『埋葬』という概念が存在しているのは象と人間くらいだろう。

象は死という概念を理解している。

象は仲間が死ぬと集まり、その死を悼む集会、『葬式』を開き鼻で遺体を撫でる。
ここまでは社会性を持つ動物としては珍しくない。が、彼らは死体が腐敗した後も白骨化した後も仲間の遺体を認知し、稀に訪れる『墓参り』を行うという。

(余談ではあるが死期を悟った象が最期の時を待つ『象の墓場』というものは現実には存在せず多くの個体が野垂れ死する。
『象の墓場』は大量に象を殺しその死骸を捨てた密猟者がでっち上げた嘘というのが通説だ)

この様に腐敗した段階で同族としての意識を失う多くの種と比べて格段に高い知性と感受性を獲得した象であるが仲間の死骸を土に埋める習性(土葬)があるという。

ここに『埋葬』の起源があると自分は考えている。

そもそも人間が埋葬を始めたのもおそらくは土葬からだろう。
土葬を行うメリットは死者への哀れみの様な情緒面におけるものではなく、かなり現実的なものだ。
象の埋葬も同じ理由からであると思う。

まず第一に感染症を防ぐ

前回の記事に書いた通り多くの動物は仲間の死骸を忌避する。
感染症の温床となり自らにとって有害であると理解しているからだ。
初期の人類も例外ではなく、感染症を防ぐ隔離処置として仲間の死骸を土に埋めたのだろう。

また、肉食獣から死骸を守る
というメリットもある。 

恐らくはこれが埋葬の始まった直接的な理由だ。

死骸とは単なる肉塊だ。
そんなものを野晒しにしていたら多くの捕食者が集まり自分達にも危害が出る。
だからこそ隠す必要があった。

或いは、仲間の死骸が食い荒らされ無残な姿になるのを情緒が発達した人類が忌避し始めたものかもしれない。

最初は生存本能から、感染症や捕食者を避けるために始めた、いわば自分の生き残りの可能性を上げるための『埋葬』人類が知性や情緒を発達させていくうちに死者を哀れみ、悼む文化へと変質していったのではないかと自分は考えている。

この世に存在するありとあらゆる宗教にその宗教ならではの葬送が決められている事からも分かる様に埋葬とは人類共通の概念である。

人類が死を認知し、死者を弔い死後の平穏を祈る『埋葬』が始まった時こそが原始的な宗教の興りなのではないだろうか。

人類の文明を発達させたのは火
人類の宗教を発達させたのは埋葬


私はそう考えている。




       

与太話ではあるが、

人類が埋葬を始めたのは死者を恐れていたからという説がある。 

一部の時代、一部の地域では遺体を縛り上げ動けなくしたものが見つかる。
また、歩けない様に、脚の骨を死後に折ったものも見つかっている。

古代に何があったのだろうか?
そこまでして死者が動けない様にする必要があったのだろうか?
一体、何を恐れていたのだろうか。


死者に付随する感染症や捕食者ではなく、死者そのものをここまで恐れた理由は何なのだろう?


何故、死者を動けなくしたのだろう


この記事が参加している募集

最近の学び

私は遊園地にあるパンダの乗り物と同じなので、お金を入れると動きます。さ、お金を入れてぴんくチャンを動かしてみよう!今度はどんなえげつない動きをするかな??