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ジャクソン・ブラウン。その歌の説得力

昨日ジャクソン・ブラウンの東京ライブ初日(3/27)、観て参りました。
このnoteはほぼ、ドミニク・ミラーのみの投稿にしようと思っていましたが、禁を破ります。

想像以上の文句がつけようのない素晴らしいライブでした。現在74歳。ただ驚愕。レジェンドはやはりそう言われるだけの事はあります。

実は私は彼を見るのは今回初めてでした。大好きな曲いっぱいあるんですけどね。
タイミングが合わなかった事もありますが、一番の理由はジャクソンは「歌詞」の部分が非常に重要なアーティストであります。そして様々な社会的な発言をして来た人でもあります。
だから、きちんと言葉が理解できない自分が彼の音楽を聴いていても、なんかそれは「片手落ち」で全然ちゃんと理解出来ていないのでは?みたいな思い込みがありました。

しかしそんなの全く関係なかったですね。こんなに「伝える力のあるアーティスト」の場合は。そんな一つ一つの「言葉」よりもっともっと大きな物が確かに伝わって来ました。

彼は日本でも熱心なファンが居ますのでセトリだとかそういう細かい内容は彼らに任せます。

私が一番強く思ったのは、

「こういう人のライブこそ若い人に見て欲しい」

という事です。

舞台上の演出なんか何もないです。ただギターかピアノ弾いて歌ってるだけです。演出とか必要無いんで。そしてこのクラスのアーティストですから、バンドメンバー含め、演奏が素晴らしいのも当たり前の事です。

しかし上手いアーティストならきっともっと幾らでもいるでしょう。でもその先にある、この「圧倒的な説得力を持つ彼の歌」という他との違いというのは何なのか。そういう事を非常に感じさせられる内容でした。ここまでのレベルになるともう演奏の技術の問題じゃ無いんですよね。

音楽に対してどれだけ実直に誠実に向き合ってきたか。そして人間としてどう生きるかという「核」があって、その信念に基づいて誠実に生きて来た人の強さです。
結局最後に出てくるのはそういう「人間として持っている力の大きさの問題」だとつくづく感じました。
「俺はこういう生き方をしてきて、これが今の俺だ。そしてお前はどう生きるんだ?どういう生き方をするんだ?」というような「人間としての在り方」をすごく問いかけられた気がしました。

私などは恐らく彼のアルバム「I’m Alive」などを若い時にリアルタイムで聴けたギリギリ最後の世代かな、と思います。けれども若い時期に、彼の歌を聴いて様々な事を感じられたというのは、それは本当に幸せな事だったんだなぁ、と思いました。だってもう今はここまで「説得力のある歌」を歌える人がどれだけ残っているでしょうか?
74歳の彼の歌声は「青臭い」とか「若々しい」んでも、キャリアを経て「円熟した」とか「渋みを感じさせる」という感じではありませんでした。なんというか、実に「Fresh」でありました。
この人はまだまだ今もしっかり目を見開いて生きてる人なんだな、という感じがしました。だからまだ引退はしてほしく無いな。勿体なさすぎます。

実は私が彼のアルバムで一番好きなのは、「I’m Alive」であります。彼が長年のパートナー、ダリル・ハンナと別れ、人生のどん底の時に作った極めて個人的な内容のアルバムです。この人はそういう辛い時期の方がいい作品作る気がします。
個人的な恋愛に関する内容のアルバムなので、かえって万人が理解しやすい部分があります。

そしてこのアルバムの中に、「Sky Blue and Black」というそれはそれは美しい曲があります。大大大好きな、隠れファンの多い名曲です。知らない方は是非聴いて見て欲しいです。

最初の方はずっと美しいメロディに乗せて、彼の悲しい心象風景が美しい歌詞として綴られていきます。でも「ただの美しい曲」ではありません。最後の最後になって繰り返されるこの歌詞のリフレインの説得力の強さ!彼の前を向いて生きようと言う意志がすごく伝わって来ます。

And the faces on the avenue
That’s the way love is
That’s the way love is
That’s the way love is
Sky, sky blue and black

ちなみに私、実はこの曲は彼のピアノ弾き語りが一番好きだったりします。究極にシンプルです。だけどこういう力のある人がシンプルな事をやるとその凄さが倍増する気がします。

まだ明日30日、ライブが残っています。当日券出るみたいなんで、行ける人は行ったほうがいいと思います。もう74歳ですし、それにもうこういう「本物」は残念ながら殆ど居ないですから。

2020年のフジロックが中止になって、若い人たちに彼を体験してもらえなかったのは、つくづく残念です。

でも、まだまだこの方は「完全に現役」だと思いますので、また是非来日してほしいです!!!。


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