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2020/05/30 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』を読む/好きなものの話は誰かとしたい

今朝、妹からLINEが届いていた。
何かと思ったら、アニメ『鬼滅の刃』に夢中だという姪1号(5歳)が「恵理奈は誰が好きなの?」と尋ねているとのこと。わたしが『鬼滅の刃』を知っている前提だ。

この作品が猛烈な人気であることは知っているけれど、これまで漫画もアニメにも触れずにいた。が、姪1号がアニメを見ていて、その話をわたしとしたいというならば鬼滅の山に入山せずにはおれない。だって、自分がおもしろいと思っているものの話は、誰かと分かち合いたいものだもの。ちびっ子だと侮ってはいけない。『アナと雪の女王』には付き合ってあげるタイミングはなかったので、今度はお付き合いいたしませう。

先日発売された最新刊を含めると『鬼滅の刃』は現在第20巻まで刊行中。『週刊少年ジャンプ』本誌ではすでに完結しているそうだ。それを紙の単行本でまとめ買いするのは大変。hontoでちょうど割引も行われていたので、電子書籍で購入した。

王道の少年漫画で、わくわくしながら読んでいる。敵味方関係なく、登場人物の背景の描き方がうまい。人間にも鬼にも、それぞれに生きた時間があり、その延長線上に「今、ここ」がある。そのことを丁寧に描いているので、単純な勧善懲悪の物語にならない。それがいい。荒川弘『鋼の錬金術師』や高橋留美子『犬夜叉』を読んだときのことを思い出す。

俳優の君沢ユウキさんは自分の番組の中で「悪役は自分のことを悪だとは考えていない。むしろ自分のことを正義だと思っている。だからこそ、悪役は格好よくなくてはいけない。そうでなければ主役が輝かない」という旨の話をしたことがある。

そういう意味では本作の敵役・鬼舞辻無惨は、強いカリスマ性を持ち、圧倒的だ。平安時代から大正時代まで、自身の願いを叶えるために、自分の血を与えて生み出した鬼たちを冷酷に利用し続ける。無惨の振舞いは人間の尺度では測れない。主人公・炭治郎とその敵・無惨との対立と戦いがどのような形で決着を見るのか気になるところだ。

とりあえず今日読んだところまででは、第8巻の無限列車篇における煉獄杏寿郎のエピソードがよかった。この作品の通奏低音は《つなぐ/つなげる》だと思うのだけれど、そのことをはっきりと示す場面が無限列車篇のクライマックスだ。杏寿郎の独擅場。受け取る隊士たちの心の震えもよく伝わるいい場面だった。しかも、猪の頭を被っていて表情を捉えにくい伊之助に焦点を当てているのも憎い。

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最初の問いに戻って、姪1号の問いに答えるならば、主人公の仲間の一人・我妻善逸かなあと思っている。わたしはどうしてもコミカルな脇役を贔屓してしまう。でも、同じくコミカルな面が多い猪頭の嘴平伊之助、彼は人としての成長の分かりやすさから魅力的に見える。

続きを読むのも楽しみ。そうそう、ちなみに姪1号は禰豆子としのぶさん推しだとのこと。


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