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ティッシュに1枚あたりいくら払っているか、計算してみたことはありますか?

消費者は、時にとても合理的。
しかし、時にとても不合理だ。
それを特に実感するのは、スーパーの
安売りに群がる人を目にするとき。
特売めがけて、並んででもその
特売品を買う、執念を燃やしてそれを
ゲットする、そういう人を見ると、
ちょっと残念な気持ちになる。

100万円の買い物が50%オフ!
50万円もお得ですよ!
というなら、多少の時間を犠牲に
するのもやむをえまい。
しかし、スーパーの特売が如きは、
たかだか
1,000円が500円になる、
500円が200円になる、
そんなレベルだろう。
そのために、仮に20分並んで、
500円ほど得したとしよう。
スーパーに行くために往復10分
かけたとするならば、時給換算
すると1,000円。
その時給のために、貴重な30分を
消費したことになる。
待っている間はスマホを見てるから、
損はしていない、なんていう反論も
あるかもしれないが、やれることの
選択肢が限られているのは間違いない。
結局は、貴重な時間を、何をすること
に投資するか、という価値観の問題に
行き着くのだろう。

さて、タイトルに書いた話である。
ティッシュを買う人は、大抵の場合
5箱が薄いプラスチックフィルムで包装
されたものを、200円~300円位で購入
しているだろう。
そして、先日の記事で書いた通り、
消費者には色々なタイプがいるものの、
割と多くの人が、自分の中で
「買ってもOK」ブランドを決めて
おり、そのブランドリストの中にある
商品が
普段より安かったり、
隣のより安かったり、
「特売」値札が付いていたり、
といった時に購入の意思決定へと至る
ことが多いのである。

そして、その際の「価格」について、
結構多くの人が、5箱全体の価格は
見ても、1箱あたりとか、1枚あたりの
価格までは細かくチェックしていない。

そこに付け入ったのかどうかは
知らないが、過去にティッシュ
ペーパーのメーカーは、
箱に入っている枚数を減らすことで
実質値上げをしてきた。

私が物心ついた頃、もう30年以上
前の話だが、その頃はティッシュの
1箱の入数は200組が普通だった。
その後、180組、160組、150組と
いった商品が出回るように
なっている。
ただ少なくするというわけにも
いかないので、箱をスリム化したり、
紙の箱ではなくプラスチック
フィルム包装にしたり、
何らかの理由を付けて
少ない入数を正当化している。

ちなみに、「組」と書いているが、
これはティッシュは大抵の場合
薄い紙を2枚貼り合わせて1組と
しているから。
商品のパッケージには、
「360枚(180組)」
のような表記になっているはずだ。

節約志向の強い消費者は、
店頭価格をこの組数なり枚数の合計で
割り算して、1枚(あるいは1組)
あたりの価格を把握している。
その辺の事情を分かっているからか、
スーパーの側も、チェーンによっては
枚数あたり単価をプライスカードに
小さく印字している。
最近はそれがむしろスタンダード
かもしれない。
まぁ、小さすぎて気付かない人の方が
多いかもしれないが。

仮に、360枚(180組)×5箱の
ティッシュが298円で売られていたら、
298円÷900組=約0.33円。
普通の人は、1組のティッシュを
わざわざはがして1枚ずつ使わない
だろうから、1回使用あたりの価格は
この0.33円だということになる。

値ごろ感でシェアを伸ばしている
ティッシュは、大抵320枚(160組)
か300枚(150組)で、安売り時に
198円といった感じ。
198円÷800組=約0.25円。
最近メーカーが値上げに動いたので、
248円が店頭価格だとしても
248円÷800組=0.31円。

実は、298円とか300円以上する、
180組入りのブランドは、
各メーカー一押しのフラッグシップ
モデルであることが多い。
そして、160組入りや150組入りの
ものは、プライスファイターとして
投入されたモデルなのである。
だから、枚数あたり計算でも安いし、
商品全体としても安くなるように、
絶妙な値付けをしているのだ。

とはいえ、毎日大量に使われる
ティッシュ。
スーパーで特売のネタに使われる
ことが殊の外多く、メーカーの
思惑通りの価格で売ることが
極めて難しいカテゴリーである
ことを付記しておく。

という訳で、ティッシュペーパーの
値付けも、単純なようで色々と
考えられている。
少しでも自社商品を多くの人に手に
取ってもらえるよう、商品スペック
とのバランスや、競合他社との比較、
そして消費者の反応を吟味検討して
値付けをし、世に送り出している
のである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。