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祐天寺?佑天寺?

東急東横線に久々に乗り、
所用で代官山へ向かう途中。
車内モニターをなんとは無しに
眺めていた時に、
「ん?」
と違和感を覚えた。
「佑天寺」
という言葉を見つけたからだ。

「佑」ではなくて「祐」のはず。
見ていると、パッ、パッと画面が
切り替わっていき、
「祐天寺」
の表示が出てくる。
やはり、こちらが正しい日本語。
そう、「佑」の字は
中国語バージョンなのだ。

車内モニターなどで、
日英の2ヶ国語表記から、
中韓を加えた4ヶ国語表記に
変わったのは、いつ頃であった
ろうか?

平成26年というと、もう7年も
前だと思うが、こちらにある
ガイドラインが出されたことが
きっかけのようだ。

要は、「観光立国」を目指して、
「おもてなし」のソフトパワーを
拡充させる意図で、官民あげて
取り組もうということになった
ということ。
その結果、交通機関や公共施設等、
ありとあらゆるところで、
日英に加えて中韓の言語対応まで
行うに至ったということのようだ。

それにしても、漢字をわざわざ
中国語の簡体字に合わせて
「祐」を「佑」に書き換える
芸の細かさ、本当に必要なこと
なのだろうか?

車内モニターの場合など、
4ヶ国語に増えることで、
ローテーションが回ってくる
までの間隔が長くなり、
最も利用者が多いであろう
日本語表記に不便が生じている
のも事実だと思う。

日本に比べ、圧倒的に観光を
経済力に転換してきたのは、
ヨーロッパ諸国、とりわけ
フランスである。
歴史的、文化的な遺産が
あちらこちらにあり、
そのソフトパワーが世界中の
人々を惹きつける。

では、そのフランスが、観光客の
ためにいくつもの言語表記まで
対応しているかといえば、
間違いなく否だろう。
英語すらないところも多い。

フランスの地下鉄に乗って、もし
中国語のアナウンスが流れて来たら、
雰囲気がぶち壊しになる気がする
のは私だけではあるまい。

日本には、フランスのような価値の
ある遺産がないから、おもてなしで
勝負するんです!
そんなことを言う人があるかも
しれないが、そんなことはない。
魅力的な観光資産は既に山ほどある。
更に、あまり気付いていないだけで、
実は高い価値のある、埋もれている
「遺産」もまだまだあるはずだ。

4ヶ国語対応も良いが、
もっと他にやることがあるのでは
ないか、なんとなくモヤモヤとする
心持ちを味わった。

間近に迫るオリンピックも、
当初想定からしたら無きに等しい
観客数での開催を余儀なくされ、
モニターに映る中国語と韓国語が
虚しい。
コロナ禍が、色々な意味で早期に
収束することを心から祈る。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。