「ボタニスト」擁するI-neの教科書経営
以前、人気のヘアケアブランドである
BOTANIST/ボタニストについて書かせて
もらったことがある。
後発のヘアケアブランドながら、
文字通りレッドオーシャンな市場の中で、
あれよあれよとNo.3にまで登り詰めてきた
実力あるブランドである。
私自身、ヘアケア市場に若干関わっていた
こともあり、ボタニストブランドを展開する
I-ne(アイエヌイー)社の動向には少なからず
興味関心を持っている。
そんなI-neのことが、日経で記事になっていた。
この記事自体が、学びの多い内容なので、
是非一読して欲しいと思うところだが、
時間のない方も多いと思うので、
ザっとかいつまんで要旨を記しておく。
I-neは、「こんなブランドがあったらいいな」
という妄想からスタートしている。
そんな、感覚的な経営から、徐々にデータを
駆使した経営をも取り込んで、両者を同時に
実践する形で経営を進めている。
感覚的な経営の部分の精度を上げるために、
専門家やインフルエンサーへのインタビューを
重ね、自分たちの妄想が世の中に価値を生み
出せそうかを検証することも怠らない。
ボタニストのブランディングに当たっては、
「イノベーター理論」を深く理解した上で、
いかにそれを現実に落とし込むか、SNSを
駆使して理論を現実化してきたようだ。
すなわち、人々に「これいいよ!」と
言って回ってくれる「イノベーター」が、
いかに次の「アーリーアダプター」や
「アーリーマジョリティー」に情報を
拡散してくれるかを、明確に意識して
自社の活動を進めてきたのだ。
これ以外にも、多くの書籍を「教科書」にして
経営の実務に活かしているという。
4年ほど前から、経営陣全員参加の読書会を
年に3、4回ほど開き、そこから得た学びを
どう経営に活かすか、熱く議論しているようだ。
コロナ禍を機に、「読書会」がとても注目
されるようになったと感じている。
オンラインで手軽に開催できるところが
一つの大きなメリットだ。
また、会を自分で開くにせよ、一参加者と
して会に出るだけにせよ、ついつい積読で
終わってしまいがちな読書を、半強制的に
先に進めることができるのは、何にも代え
難いメリットだと感じている。
参加者の個性がぶつかり合って、自分で
読んだだけでは気付かなかった「学び」が
得られるという仕組みも、非常に高い価値が
あると思っている。
その良さが認められ始めているのは、
世の中にとって大変良いことだ。
常々そう思っていた。
I-ne社は、「読書会」が今のように注目される
随分と前から、その可能性、効果効能に気付き、
経営実務に着実に活かしてきたのだ。
ボタニストブランドが、未だに衰えを見せずに、
シェアを伸ばし続けている理由の一端をそこに
見ることができる。