見出し画像

価格設定の妙

偶然にも、今日の東洋経済ネットの
記事に、価格設定に関する話が出て
来た。
昨日、主催セミナーで「価格」に
ついて話したばかりだったため、
あまりのタイムリーさに驚きつつ、
ネタとして書いておくことにした。
と思った次第。

その記事というのは、サイゼリヤが
値上げをしたというこちらの記事。

昨日のセミナーで、消費者が
心理的に安く感じる価格である
「末尾が8」
「末尾が9」
という数字のお話をしたところ。
サイゼリヤも、これまではメニューを
299円とか、399円という価格設定で
やってきていた。

どこのレストランや居酒屋にせよ、
あるいはスーパーやドラッグストアに
せよ、概ねこのような価格設定に
なっているのはご承知の通り。
記事にある通り、なぜか消費者は
このような「端数」価格にお得感を
見出す。
心理的なマジックだ。

この心理、国によって微妙に違う
ようで、アメリカでは0.99ドルとか
1.99ドルというように「9」の方が
メジャー。
日本では、98円、198円というような
「8」の方が圧倒的に多いように
見受けられる。
ただ、いずれも「切りのいい価格」
から少しだけ低い「端数」価格が
消費者心理に働きかけていること
だけは間違いない。

サイゼリヤの価格は、アメリカ式で
「9」で終わるメニューが多い。
それを今回、切りのいい数字、
299円だったら300円、
399円だったら400円、
というように、「1円値上げ」を
敢行するのである。

コロナ禍との兼ね合いで、おつりの
やり取りを減らしたい、という思惑
が強いようだ。
小銭というのは、実はかなり汚い。
誰の手を経たのか分からないわけ
だし、潔癖症の人だとまともに触る
ことができないはず。
コロナウィルスが付着して、、、
なんてことはまず起こることはない
と思うが、このご時世、心配する
人が多いだろうことは容易に想像
できる。

加えて、コロナ云々に関わらず、
実はレジにおける小銭のやり取りと
いうのは、従業員の手間ひまが
相当かかっている。
それを減らすだけで、実は人件費
の圧縮にもつながる可能性が十分に
ある。

コロナで、人々の時間に対する意識
がかなり高まっているように感じる
ことがある。
首都圏では平均1時間と言われる
通勤時間が浮いて、時間というのが
いかに貴重なものなのか、身に染みる
経験を多くの人がした。

買い物のレジで、小銭のやり取りに
かかる時間はたかが5秒、10秒かも
しれない。
しかし、レジに並んでいる人が5人
いたら、合計1分近くも小銭のやり
取りで取られるわけだ。
1分だって時間は貴重である。
サイゼリヤでは5人もレジに並ばない
かもしれないが、それでも小銭の
やり取りの時間が減るのはとても
好ましいこと。

このように、時間に対する価値が
より広く認識されていくことで、
心理的に訴える効果の高いと言われ
てきた端数価格が段々廃れていく
可能性がある。
また、特売がある度に買い物の
行き先を変えるような消費者も、
通販を利用したり、出来るだけ
近場のスーパーのみで済ませたり
といった行動の変容を起こしていく
可能性がある。
いや、既にそのような行動の変容は
始まっていると言える。

時代が変われば行動が変わる。
適切な価格設定のルールも変わる、
ということなのだろう。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。