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ダブルチョップの功罪

セブンプレミアムの洋菓子ミックスを
購入
した際に、一緒にコーヒーを買った。
私は断然無糖派で、世の中の自販機で
大きなシェアを占めている甘ったるい
コーヒーを買うことは皆無だ。
昔に比べて、無糖の選択肢が増えて
来たのは嬉しい限り。

そのコーヒー、ボトルの首から広がって
いく部分にセブンプレミアムのロゴが
あり、正面の円柱部分の一番上から
UCCのロゴ、RICH AROMA BLACK
という名前がそれに続いている。
つまり、セブンのPBでありながら、
UCCのブランド名も冠している、
いわゆるダブルチョップと呼ばれる
タイプの商品だ。

チョップと言うと、ついプロレスを
思い出してしまうが、ここで言う
チョップは「商標」を意味している。

このダブルチョップ方式を採用する
企業は、セブンプレミアムを展開する
セブン&アイだけでなく、ファミマや
ローソンといった大手コンビニが軒並み
右にならえだし、大手ドラッグストアも
同様のやり方をしているところが多い。

なぜこんなことをするかといえば、
PBは元々ナショナルブランド(NB)に
比べて知名度に劣り、それ故に品質を
訴求する力に劣るから、NBの力を
借りようという意図があるからだ。

NBのブランド力など借りなくても、
自分たちのブランド力で消費者に十分
アピールできるし、自分たちの目利きで
品揃えしているのだから、ダブルチョップ
のような「邪道」は行かない!
という気概を見せているのが、
イオンの展開するPB、トップバリュで
ある。

トップバリュの商品には、表はもちろんの
こと、裏面にも製造会社やそのブランドの
名前は出てこない。
あくまでも、イオンが責任を持って供給元
を選択し、消費者に届けているという体を
とっている。

イオンのようなやり方が良いのか、
それともダブルチョップが良いのか、
これは評価の難しいところ。
その会社が何にプライオリティを
置くかにかかってくるのだろう。

ダブルチョップにすれば、NBとしての
ブランド力を背景に、より消費者からの
支持を得やすく、純粋なPBよりも
高価格で販売可能だ。
しかし、PBというのは本来、NBが
ブランド力の源泉として広告宣伝などに
投資している部分を削る代わりに、
消費者に価格で還元しようという
代物である。
NB側にとっては、小売のPBをより多く
売るために、自分たちのブランド資産を
切り売りされているようなところがある
のだ。

それゆえ、ダブルチョップはやりません!
と敢然と断るメーカーも多い。
とはいえ、小売は最も消費者に近く、
ダブルチョップを断ることでNBまで
棚から消えてしまっては困るという
リスクを恐れて、やむなくダブルチョップ
を請けているメーカーもまた多いという
のが実情と思われる。

小売のバイイングパワーも、その源泉は
詰まるところ消費者にある。
その小売店で買ってくれる消費者が存在
する、その事実をもって、メーカーも
その小売店に頭が上がらないわけだ。
NBであってもPBであっても、
消費者ファーストのマインドを忘れない
こと、それが最も大切であることは
変わることがないだろう。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。