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OKストアのオネストカード

昨日実施した主催セミナーの
テーマは「Price」だった。
つまり「価格」。
価格、値付けを考える上で、
販売する商品(製品/サービス)の
価値とのバランスが大切、

そんなことを語らせてもらった。

みんなが欲しいタイミングで、
商品の供給が絞られてしまうと、
価格は高騰する。
逆に、誰も欲しがっていない
タイミングで商品を供給しても、
モノ余りの状況ゆえに、
価格を下げざるを得なくなる。
「需要曲線」「供給曲線」という
ミクロ経済学の基本中の基本
習う考え方である。

みんなが欲しがっている商品ゆえ、
値段を上げても買ってもらえる
状況だということならば、
「便乗値上げ」とは言わずとも、
折角だから値段を上げて売ると
いうのが人情。
全くもって経済合理的な話だ。

ほとんどの小売店は、そのような
発想で止まっていると思われる。
しかし、OKストアは、その一歩
先を行っている。

値段を上げて売るところまでは
一緒だが、あえて、
「今は高いから買わない方がよい」
という情報をお客様に正直に伝えて
いる
のだ。

価格に比べて、価値が低い。
つまりコスパが悪い。
そんな「都合の悪い真実」
包み隠さずお客様にお知らせ
してしまう、というのがこの
オネストカードなのである。

OKストアが、このオネストカードと
いう制度を続けている理由は、一体
何であろうか?
公式サイトでしっかり説明までして
いるところから察するに、彼らの
哲学の根幹にある考え方
なのだろう
ということは推測できる。

OKは、EDLP(Every Day Low Price)
標榜するディスカウントスーパー。
お客様にとって、同じ品物ならばより
安いお店で買いたい、そんな単純な
願望を全力で叶えようというのが
彼らのミッション
だ。

本来であれば、天候不順であろうと、
できるだけ商品を安く売り、お客様に
満足してもらうのが彼らのモットー。
しかし、彼らも事業継続をするため
には、赤字に陥ってまで値下げをする
義理はない。

詰まるところ、OKがオネストカードで
実現しようとしているものは、
お客様との中長期的な信頼関係の構築
なのである。
たまたま一度来てくれた客ではなく、
何度も繰り返し来てくれる、まさに
「顧客」=「顧(かえり)みるお客様」
をどうやって虜にするかを考えての
施策であることは間違いない。

人に親切にされたら、親切で返したい
というのが人情。
これは、「返報性の原理」として
名著『影響力の武器』でもしっかり
取り上げられている。

そんな、人間の情理に訴えかける
「オネストカード」という仕組み。
これ以外にも、OKストアは色々と
面白い仕掛けを沢山持っている
ユニークなスーパーだ。
まだ行ったことのない方には、
是非最寄りの店舗を探して、
実際に訪問していただきたいと思う。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。