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激アツなご朱印・ご朱印帳の「市場」

「祈り」を生活に取り入れよう。
そのように決めた後、何かしら
「マイルール」で自分を縛らないと
つい忘れてしまうと考えた私は、
鳥居を見つけたら即座に心の中で
「祈り」を捧げる、というルールを
設けて、今も実践中だ。

コンビニは全国に約6万店舗あるが、
それよりはるかに多い10万(推定)
もの数が存在すると言われる神社。
コンビニは頻繁に目にするので、
当然ながら神社も頻繁に見かける
ことになるはず。
実際、通勤途中はもちろん、買い物に
出かけているときも、マラソンをして
いるときも、それなりの数の鳥居に
遭遇する。
見つけたら、必ず心の中で、今を健康
に過ごせていることに対する感謝と、
世の中が平和であって欲しいという
願いを、心の中で唱える。

別に何かの宗教にはまっているとか、
怪しげな自己啓発で教わったとかでは
なく、あくまで自分が尊敬する人たち
には「祈り」を大切にしている敬虔な
方々が多いので、その真似をすること
で少しでも自分の襟を正したい、
といったところ。

神社と言えば、ご朱印集めが流行り
出して久しい。
そのご朱印・ご朱印帳の「市場*」が、
コロナの影響もあってか、結構すごい
ことになっているのを、先日のDAFに
参加した際に伺うことができた。

*ご朱印・ご朱印帳を「市場」と見立てる
のは罰当たりかもしれないが、事実として
神社という売り手と、集める側の買い手が
存在し、金銭のやり取りをしている時点で
立派な「市場」を成している。

福田剛大氏は、
「仕事が取れる名刺の専門家」
というユニークな本業と、
ご朱印集めという趣味を持つ、
一風変わったオジサン(失敬!)である。

冒頭の写真にある通り、
リュックを背負わずにお腹の側に下げ、
「どうだ!」
と言わんばかりの笑顔で、レアものの
ご朱印を観客に見せびらかしている
姿は、どこからどう見ても「オタク」
にしか見えない(再び失敬!)。

そんな福田さんが、昨今のご朱印を
取り巻く事情を興味深く語ってくれた。

ここ数年、方々の神社を巡り、様々な
ご朱印を集めることを趣味としている
人が増えているのは、ニュースでも
取り上げられているし、皆さんの周囲
にも趣味人口が増えているのを実感
する機会が多いのではなかろうか。

それだけ盛り上がっていたところへ、
今回のコロナ禍騒動が冷水を浴びせ
かけたわけで、福田さんもめっきり
神社に行く回数が減ったとのこと。

しかし、そのような状況を踏まえて、
神社側もあの手この手の工夫を凝らす
ことで、ご朱印の市場が進化を遂げて
いるのだ。

彼の見立てでは、大きく3つの動きが
あったと要約できるそうだ。

一つ目は、「ブームに乗る」というもの。
他の商品・サービス、カテゴリで、話題に
なったり、ブームが巻き起こったものに
便乗してしまえ!ということだ。
具体的には、コロナのお陰(?)で急に
脚光を浴びた「アマビエ」。
この「アマビエ」をご朱印に描いてくれる
神社が登場し、人気を博したらしい。
また、今や泣く子も黙る大人気アニメ、
『鬼滅の刃』に便乗したご朱印帳も
JR九州の企画で登場、売り切れては
再入荷を繰り返していた様子だ。

「柳の下に二匹目のドジョウはいない」
とは言うものの、素早いスピードで対応
できれば、ブームによって拡大している
市場の恩恵に与かることは、一般論として
十分可能なのだ。


二つ目は、ご朱印帳の「素材」で
ユニークさを出す
というもの。
例えば、
・従来にない大きさのご朱印帳
・ド派手なのご朱印帳
・奇抜なのご朱印帳
といった具合に、期間限定、数量限定で
ユニークなご朱印帳を販売し、それを
目当てにお客様を呼び込もうとしていた
ようだ。

市場が成熟するにつれ、競合といかに
差別化したものを市場に投入するかの
激しい争いが起こる。
まさに、全国の神社がこぞって
「我が神社に参られよ!」
とばかりに、ご朱印やご朱印帳に独自の
価値を付加するべく、アイデアを競い
合っていたのであり、それらを見聞き
するだけでも非常に面白く、参考になる。

元々ご朱印を主に提供していたところ、
ご朱印帳を駆使して
「アップセル」(商品単価アップ)
「クロスセル」(商品点数アップ)
している、という捉え方もできる。


三つ目が、「遥拝(ようはい)」
つまり「オンライン参拝」を認めて
ご朱印を交付しますよ!
というものである。
ご朱印の「通販」と言っても良い。

このオンライン対応、危機を乗り切る
ために始めたわけだが、元々は直接
参拝できないという「空間」的な
ギャップを埋めるために考えられた
ものである。
それが、コロナのお陰で新たな価値、
すなわち「時間」的なギャップをも
埋めてくれるということに気付いた。
すなわち、ご朱印・ご朱印帳の
「バックナンバー」まで売れるように
なり、以前にも増して市場機会が
拡大したのだ。


やはり、ピンチはチャンスである。
変化に果敢に立ち向かい、
変化の荒波に乗り、
変化を制する気構えが必要だ。
そんなことを、ご朱印マーケティングの
リアルな事例が改めて教えてくれた。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。