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自動車教習所にお客様をどう取り込むか

私は東急田園都市線の沿線に住んでおり、
会社に通うときは田園都市線と大井町線、
目黒線を乗り継いでいる。
途中で通過する二子玉川には、
コヤマドライビングスクールという
自動車教習所があり、電車内広告でよく
その名前を見かける。

教習所が広告を出す目的は、
まず第一義には、お客様の獲得であろう。
獲得をするためには、まずはその存在を
知ってもらう(認知)、そして興味を
持ってもらうことが重要だ。
ただ、一口に「認知」だ「興味」だと
言っても、どのような教習所として
知られたいか、どんなお客様に知られ
たいのか等によって、どういう広告内容に
するかが変わってくる。

パンチのある、ド派手に目立つ広告で、
とにかく名前を知らしめる広告を打つ
手もあるだろう。
安全第一、堅実さを前面に打ち出して、
保守的な広告を展開した方が、お客様
からの信頼を得やすいかもしれない。

これまでに見たことのあるコヤマの
広告は、自動車教習所っぽくない、
ユニークなものが多い印象である。
駅貼りポスターが、これまでにもかなり
注目を集めてきたということで、
サイトで過去の「コレクション」を
公開してくれている。

確かに、クオリティが高い。
クスっと笑わせるもの、
ホ~ッと感心させられるもの、
なかなか機知に富んでいる。


お客様が商品やサービスを購入するに
至る流れを説明する、パーチェスファネル
というモデルがあり、以前にも何度か
紹介している。

「認知」や「興味」というのは、この
ファネルのかなり上方に存在している
わけだが、これらの横幅をとにかく
広げていくことが、マーケティングの
活動に求められる。
より多くの人に購入してもらうには、
より多くの人に認知してもらい、
より多くの人に興味を持ってもらい、
(以下略)
となるわけで、横幅が広がれば広がる
ほどに、ファネルの下の方まで残る
人も増える。

コヤマの過去のポスターを見る限り
では、「おっ?!」と思わせるような
クリエイティブを掲出することで、
人目を引く、興味を喚起するという
アプローチだ。

今日、電車の中で見つけたコヤマの
広告は、これまでと一味違っていた。
というのは、認知や興味を押し広げる
アプローチではなく、購入を検討する
際にネガティブに働くであろう要素を
取り除くアプローチだったからだ。

こちらのページの冒頭にある、
「インストラクターは全員マナー検定
 合格者」
という内容を、広告のキーメッセージ
として採用していたのである。

教習所というと、私を含む多くの人は、
あまり愛想のよくないオジサンが隣に
座って、あれこれ指示を受けながら
運転教習を受けることをイメージする
と思われる。
しかし、コヤマでは、インストラクター
全員が「マナー検定」を受検し、合格
した人たちが教習を受けもっていると
いう。
先生を「インストラクター」と呼んで
いる時点で既に新鮮だ。

初心者がそれとなく心の中で抱いて
いるであろう、愛想のない先生に
教わる不安感、それを払拭するべく、
マナー向上に努めている。
そうすることで、恐らく生徒さんたち
からの顧客満足度も上がっているで
あろう。
そして、そこで止めずに、広告でも
先生方のマナーの良さを訴求すること
で、購入(教習所の場合は入学)の
ハードルを下げようとしているのだ。

お客様の心の動きを丁寧に分解して、
それぞれきちんと手を打っている。
コヤマドライビングスクールは、
そんな印象を感じさせる教習所なの
である。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。