100-1=0
算数は苦手だった。
小学校1年生の時、
一番最初の算数のテストで、
2枚の「0点」答案が返却された
とき、どんな気持ちを味わった
かまでは覚えていないが、
それ以来強烈に苦手意識を
持ったのは間違いない。
「100+100=100100」
という答えを書いたことは
今も記憶に残っている。
足すという操作の概念自体は
分かっていつつ、十進法の
足し算を全くもって理解して
いなかったのである。
高校受験で、依然数学がやや苦手
ながらも、何とか足を引っ張らない
程度には仕上がった。
しかし、大学受験をする必要のない
高校に入ってからは、ついつい
数学とは縁遠い生活を送るように
なり、今に至る。
そんな私でも、
「100 - 1」と問われたら、「99」と
答える。
では、なぜ冒頭の数式に「0」という
答えを当てはめたか?
この数式は、帝国ホテルの社長、
定保英弥氏が『致知』のインタビュー
記事で語っていたものだ。
(リンク先は、本誌の一部をピック
アップしたもので、上記数式には直接
触れていない点、悪しからず。)
「100-1=0」の意味するところ。
それは、どんなに100点満点の接客を
積み重ねても、最後の最後に一つ
大失敗をしてしまったら、全てが
台無し、すなわち0点になってしまう
のだということ。
六代目の社長、犬丸一郎氏が提唱した
そうで、帝国ホテルのサービスの教訓
として今も語り継がれているそうだ。
だから、手を抜かない。
手を抜けない。
周囲のみんなが完璧なサービスを
しているのに、自分だけが手抜きを
して、チーム全体の足を引っ張る
ようなことは、断固として避ける。
かといって、失敗しないように、
足を引っ張らないようにと、
現場が失敗ばかり意識してしまう
ようでは、みな委縮してしまい、
かえって気持ちのこもった良い
サービスができない可能性もある
だろう。
現場を取り仕切るマネージャーは、
誰もが手を抜かないようにしつつ、
みなをイキイキと働かせるという
極めて高度なバランス感覚を要求
されることとなる。
お客様に、100点と評価される
ためには、とにかく手を抜かない
ことだ。
目の前のやるべきことに集中し、
手抜きをせずに、
最後までやり抜く。
月並みではあるが、
「お天道様は見ている」
ことを常に意識する。
「李下に冠を正さず」
これを徹底する。
寝る前に、今日一日を振り返り、
「今日は手抜きをしなかった
だろうか?」と自問自答する。
そこで、自信を持って、
「手抜きせずにやり切った!」
と言える一日を過ごす。
そうすれば、お客様から
恒常的に100点をいただける
高みへと近付けるはずだ。