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「良い会社」でなく「いい会社」

伊那と聞くと、中央道で名古屋方面へ走り、
諏訪を越えて更にかなり先。
長野県にある山深い場所である。
子どもたちが幼稚園に通っていた時分、
もう10年から15年も前になるが、その
幼稚園が宿泊施設を保有しており、夏に
お邪魔したことがある。
空気が澄んでいて、星空がとても美しく、
のんびりドライブするにはとても良い
場所だった。

当時、『いい会社をつくりましょう』が
出版されてまだ日が浅かった記憶がある。

「かんてんぱぱ」のブランドで寒天を
製造販売している伊那食品工業。
実のところ、ブランド名も会社名も
全く知らなかったが、この本が色々な
ところで激賞されていて、すぐに買って
読んだ記憶がある。
字数が少なく、内容も平易に書かれて
いて、にもかかわらず本質を突かれた
感じのする良書だった。
なので、是非一度、伊那の本社にある
「かんてんぱぱガーデン」に行って
みたいものだと思っていたところ、
丁度娘の幼稚園行事で伊那にお邪魔
することになったため、寄り道を
した次第。
工場見学する時間はなかったが、
手入れの行き届いたガーデン内の
散策を楽しんだのは良い思い出だ。

そんな伊那食品工業で、今は名誉顧問
となられている塚越寛さんの新しい
著書を読む機会に恵まれた。

トヨタ自動車の社長、豊田章男さんの
コメントとして、帯に
「私の教科書」
と書いているのがインパクト大である。

この本は、2019年の出版。
最初の著書が2004年で、その間にも
「年輪経営」をテーマにした著書を
書かれたり、他の書籍で紹介されたり、
今や知名度は相当なものだろう。

塚越さんの経営に対する姿勢は全く
ブレておらず、今回の著書でもその
哲学が端的に、かつ分かりやすく、
平易に書かれている。

短いからと言って、中身が薄いことは
全くない。
一語一語、吟味して、よく考えて、
練り上げた感じがする言葉が多いのだ。

「良い会社」ではなく、
「いい会社」になりたい。
この、「良い」と「いい」は違うと
いうのである。

塚越さんがめざす「いい」の意味する
ところは、お客様が日常生活の中で
「あの会社はいい会社だね」
と言ってもらえる会社。
例えば、証券会社のアナリストが、
PLやBSを分析して太鼓判を押すのは
「良い」会社であり、それは塚越さん
の目指すところではないようなのだ。

彼が目指すのは、定量的というより
定性的に、そして未来に向かって
永続的に、お客様の支持を得られる
ような会社になること。
そのように理解した。

会社にとって利益とは、
「健全な経営を行った結果出るウンチ」
のようなもの。
この考え方も、2004年からブレていない
ように記憶している。
渋沢栄一は「カス」と言ったそうだが、
そのご縁(?)か、埼玉県から
「渋沢栄一賞」も受賞している。

外資系企業に長らく勤めている身として
は、このようなやり方で本当に経営が
成り立つのだろうか・・・という思いが
半分、しかし残り半分は、自分自身が
会社を経営するなら是非とも真似して
みたい、というもの。
副業で作った会社はあくまで一人会社
ゆえ、おこがましくて「経営者です」
などとはまだ言えないレベル。
GWの時間を有効に使って、自分が
経営できそうな会社があるとしたら?
なんて質問に対する答えを探求して
みることにしようかしら。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。