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「世界遺産 by 宮崎牛」の見事な造形

日経MJで「本能に訴えろ!ニクい演出」
というタイトルの記事を見かけた。

何のことかと読んでみると、
いわゆる「フードアート」と呼ばれる
作品の紹介。

JA宮崎経済連の
「世界に誇る、最高峰の肉。宮崎牛」
という広告には、牛肉を材料にして
作られた赤富士エアーズロック
ピラミッドグランドキャニオン
登場する。

これは是非一度YouTubeで、
1分程の映像を見ていただきたい。

どれもこれも、見事な造形である。
昨年10月末公開から9か月ほど経った
2023年8月時点で、177万回もの
再生回数を記録
しているから、
まずまずの広がりと言って良いの
ではないか。

日本における牛肉の産地はどこか
と考えた場合に、すぐに宮崎県が
浮かぶ人はどの程度いらっしゃる
だろうか?

割と、松坂牛とか神戸牛仙台牛
といったブランド牛のイメージ
引っ張られる人も多いような
気がしている。

実際の産出額ベースで、都道府県
ランキングを作ると、
1位:鹿児島県
2位:北海道
3位:宮崎県
4位:熊本県
5位:岩手県
という結果となる。

(出典:農林水産省の統計資料より)

そう、九州は肉類に強く、中でも
宮崎は全国3位となる屈指の牛肉
産出県なのだ。

とはいえ、先に挙げたブランド牛と
比べると、「美味しい」「高級」と
いったイメージが付いている訳では
ない。

そこで、市場でより多くの消費者に
選んでもらうためのブランディング
強化
を目指しているのだろう。

「世界に誇る、最高峰の肉」
というキャッチコピーに合わせて、
「世界」つながりで世界遺産の
フードアートを造形し、撮影を
したのだと思われる。

この1分ほどのビデオを観ると、
最後の方にこちらのテロップが
登場するのだが、正直なところ
少々違和感を覚えた

宮崎牛は、全国和牛能力共進会において4度の内閣総理大臣賞を受賞しました。

キャッチコピーは「世界」なのに、
ビデオの中では「内閣総理大臣賞」、
つまりはベタベタな「日本」である。
違和感の正体はこれだったのだ。

最後の最後に、
「Top Brand of Japanese Wagyu」
というコピーが登場するので、
日本のトップだから、世界に伍して
いけるだけの品質の和牛だよ!

ということをさりげなく主張し、
「世界」と「日本」を辛うじて
ブリッジ
していると言えなくもない。

しかしながら、願わくは、
なぜ世界遺産の造形なのか
そのWhyの部分を、内閣総理大臣賞
などではない、もっと「世界」に
紐づいた内容で表現
して欲しい、
そんな欲張りなことを考えていた。

とはいえ、この見事なクリエイティブ
には脱帽である。

「赤富士」などは、実際にレストランの
看板メニューにすることも可能だろう。

宮崎牛のイメージが、今後どこまで
引き上がっていくか、要注目だ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。