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事実に対する解釈を変えて企画をヒットさせたはとバス

今は「Go To トラベル」で多少息を
吹き返している観光業界。
新型コロナウィルスの猛威で、
とにかく出かけないという状況が
続き、今年の業績は散々だろう。
国内需要も痛いが、インバウンドの
需要が蒸発したことも相当痛かった
に違いない。

インバウンドというと、京都や奈良
の古都を思い出すが、山のように押し
寄せていた人が、ほとんど見られなく
なったように聞く。
そして、東京近郊に関しても、事情は
似たようなもの。
銀座や新宿に出かけると、中国語や
韓国語がやたらと飛び交っていた1年
前に比べると、街ゆく人の数は減り、
外国人観光客はごくわずか。

インバウンドで稼いでいたであろう
企業はどこだろう?と考えたとき、
はとバスを思い浮かべる人は少なく
ないのではなかろうか。
繁華街という繁華街で、頻繁にその姿
を現わしていた黄色いバス。
二階建てバスの二階に、サングラスを
かけてゆったりと座りながら東京観光
を楽しんでいる外人たちをよく見かけ
たものだ。

『販促会議』という雑誌で、はとバスの
ユニークな取り組みが紹介されていた。
9月の真ん中あたりにあった四連休の
際に、巨大迷路体験という企画を実施、
かなりのお客様を集めて大盛況だった
という。

観光バスの需要がコロナの影響で落ち
込んだのは、上記の通りインバウンド
客の数が圧倒的に減っている以上、
間違いない事実だろう。
更に、バスは密閉空間であるゆえ、
消費者側が心情的に「使いたくない」
状況に陥っていたと言える。

しかし、観光バスには車内の空気を
たった5分程度で全て入れ替えること
ができる「換気制御装置」が備え付け
られているらしい。
それを知ってもらい、安心して観光
バスに乗れるという「空気」を醸成
しようという狙いで、企画を考えた
ようだ。

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トレードマークの黄色が鮮やかな
はとバスが、これだけの台数集結
して迷路を成している様子は、
妙に絵になる。
需要減で、稼働していないバスが
沢山余ってしまっている状況を
逆手に取り、迷路という使い道を
考えた企画者の目の付けどころは
なかなか鋭い。

コロナだ、不景気だ、人口減だ、
予算がない、人もいない、、、
ネガティブな状況に文句を言った
ところで、その事実は動かない。
しかし、事実に対する見方、解釈を
変えることはできる。

このはとバスの事例は、同社自身が
保有するバスたちが稼働できていない
状況を「単なる失敗」で終わらせず、
「迷路を作るリソース」と捉え直した
事例だと考えることができよう。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。