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クリエイティビティのカタマリ・谷尻誠さんの仕事

「インスタ映え」が流行語大賞に選ばれた
のは、2017年。
もう3年も経っていると言うべきか、
まだ3年しか経っていないと言うべきか。
そこまでバエバエ言わなくなったとは
いえ、実際に人気に火が点く商品たちは
バエるものが多いのは間違いない。

SNSをマーケティング施策に使う
大きなメリットの一つは、
コストが比較的安く済むことにある。
勿論手間はかかるし、アイデアやセンスの
良さが求められるから、決して簡単な
ことではない。
しかし、このコストメリットは大きい。
大手のように、TVCMをバンバン打つ
体力がなくても、やりようによっては
世の中で圧倒的に目立てるのだから。

この、SNSでバエるということを、
マーケティングに上手に活用する意図を、
端々にヒシヒシと感じながら、
それにしてもいいセンスしてるなぁ~、
そんな感想を抱いた。
建築家/起業家の、谷尻誠さんが書いた
『CHANGE』を読んでの率直な気持ち
である。


ライフスタイルブランドの「koe」が、
渋谷の宇田川町に「hotel koe tokyo」を
作り、それを手掛けた建築家がとても
ユニークだという話をどこかで聞いた
のは、1年程前だったろうか。

ただ、その時はあまり深く掘り下げる
ことなく、それっきり。
今回、たまたまこの本を手に取って、
「あぁ、あの時の建築家さん!」
という感じでつながった。

この本を読み進むうちに、
彼のクリエイティビティがビシビシ
脳内に刺激を届けてくれて、
軽い興奮を味わうこととなった。
これまでに彼が手掛けてきた
プロジェクトの数々が、
とにかくすごいのである。

代表的なものだけ紹介しよう。

「絶景不動産」という名前を聞いた
だけで、なんかワクワクする物件を
取り扱ってそうなニオイがしてくる。

虎ノ門ヒルズにできた「虎ノ門横丁」も、
コンセプトを聞くと「絶対行きたい!」。
一つひとつのお店の魅力ももちろんだが、
それらのお店が本当に「横丁」的になって
いる、すなわち、店単体の魅力を超えて
横丁全体の「場の魅力」を創造しようと
しているところが、非常にそそるのだ。

「泊まれる本屋」というコンセプトの
「BOOK AND BED TOKYO」も、
谷尻さんの仕掛け。

私が最も面白い!と思ったのが、
カルビーのフューチャーラボという
ユニークな商品開発組織と組んで
発売した、「ふるシャカ!」という
商品。

ポテトスナックをシャカシャカ振って、
野球の応援に使ってもらおうという
コンセプト。
カープファンが、みんなでこの筒形の
スナックを持ち、シャカシャカと音を
たてて振りながら応援している絵を
想像したときの、プロジェクトチーム
の興奮が思い浮かぶ。

あえて、販売チャネルを限定して、
広島市民球場だけで発売するという
発想もまたニクい。
あえて、狭い、ニッチな、しかし
そこでは異常に盛り上がりそうな
状況をお膳立てして、「爆発力」を
商品に与えている。

2018年に広島カープ、
2019年に東北楽天イーグルスと
拡大をしたが、昨年はこのコロナ禍
で手の打ちようがなかったことが
想像される。
とはいえ、このアイデア発想力が
あれば、新しい現実に即して、
きっとまた新しい提案を世の中に
送り出してくるのではないかと
期待するところだ。

こんな調子で、クリエイティビティの
底なし沼のような人だという印象の
谷尻さん。
建築家の枠に収まらず、起業家として、
そして今後更に新たな肩書きを
ジャンジャン追加しながら、
活躍を続けるだろう。
目が離せない。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。