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好調のグミ市場に見られる販売の工夫

数日前の日経新聞に、グミの市場規模が
ガムのそれを上回った
ことが記事として
取り上げられている。

私の友人の一人が、このニュースに
少なからずショックを受けたようで、
自身のブログに所感をつづっていた。

私自身も、子ども時代にはまだグミが
そこまで大きな市場になっておらず、
ほとんど食べる習慣がない。
食べようと思うことも、ほぼない。
それゆえ、友人の受けたショックに
少なからず共感している。

日本におけるグミの発売開始は、
1980年
に遡るようだ。
明治製菓が、『コーラアップ』という
商品を世に出したのが始まり。

その後、1988年に、同じく明治から
『果汁グミ』が発売されるに至って、
女子中高生を中心にヒット商品となる。
この『果汁グミ』は、今もコンビニや
スーパーの棚で幅を利かせている、
押しも押されぬカテゴリの代表的な
銘柄だ。

その後、グミはじわりじわりと市場を
拡大してきたわけだが、ガムの市場を
追い抜いた背景には、今回のコロナ禍
の影響がある。

マスク生活が常態となる中、わざわざ
マスクを上げ下げする必要のあるガム
よりも、一度口に放り込んだらそれで
OKという「食べやすさ」が受けている
ようだ。
また、ゴミが出ない点も評価されている
とのこと。

記事の中で、特に興味深かったのが、
明治製菓の販売戦略である。
以下、該当部分を引用する。

21年8月からグミの硬さを6段階の「食感チャート」で表示。人気シリーズの「果汁グミ」は2、かみごたえのある「コーラアップ」には5といった数値を包装袋の表面に記載している。コーラアップシリーズから始め、22年3月にすべてのグミ商品に食感チャートを表示した。
食感チャートの数値は21年10月に開発した、人間のかむ動きを再現する実験装置「ORAL-MAPS(オーラルマップス)」で計測した。グミが粉々になるまでに必要な力をもとに決めている。
(太字は引用者)

日本最初のグミ『コーラアップ』は、
かなり硬めの、噛み応えある商品
競合となるUHA味覚糖の『忍者めし』
『シゲキックス』、カバヤの『タフグミ』
カンロの『カンデミーナ』など、硬さで
勝負する商品が、棚において増えている
印象がある。

そんな中、各々の商品の噛み応えが
どのレベルにあるかをチャート化
し、
商品パッケージに載せることで、
お客様の求める噛み応えレベルとの
マッチングを図ろうとしている
わけだ。

実は私も、このチャートを店頭で見かけ、
気になっていた。

いくらパッケージで「硬い!」と
うたったところで、どの程度硬いかを
消費者が理解するのは難しい。

しかし、チャート化して、レベル感を
示すことによって、ある程度硬さの
予測を付けることができるため、
買って食べた後の「これじゃなかった!」
というガッカリ感、期待値とのギャップを
減らすことに貢献している
と思ったのだ。

似たような試みとして、随分昔からある
のは、カレーの辛さ表示である。
甘口から辛口まで、5ないし6段階表示で
辛さの目安を示してくれている。
業界初の試みは、ハウス食品が、なんと
50年前に採用した
とのこと。

これを元に選べば、「辛すぎた!」とか
「甘すぎた!」という、当初の期待値
とのギャップから苦情が来るのをかなり
避けることが出来るだろう。

「これがいいですよ!」
「これがとにかくオススメ!」
というように、ストレートに売り込む
のではなく、客観的な基準を提示
して
「この分布の中でこの商品はここ」
という位置付けを教えてあげる。
そうすれば、お客様は自ら選ぼうと
してくれるものだ。

この考え方は、他の様々なカテゴリー
にも応用できる、優れた販売戦略で
あると言えるだろう。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。