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Dr. Failure(失敗博士)から起業の心構えを学ぶ

失敗は成功の母。
失敗するのは当たり前で、成功したい
のなら沢山失敗したことから学ぶのが
よい。
なんてことはよく言われる話である
ものの、いざ失敗したときに、ここ
日本という国ほど失敗が許容されない
ところも珍しいのではないか。

実際、数多の調査や研究結果が示す
ところでは、日本人は失敗が恐くて
起業を避けている、そんな状況が長年
続いているのである。

アメリカでは、失敗を沢山したという
ことはそれだけ成功に向けた経験を
積んでいる、そのように解釈される
ことが多いという。
そんな、日本とは根本的に異なる風土
において、学生に向けて起業に関する
あれやこれやを教えている日本人が
いる。
しかも、「起業と言えばBabson」と
その名もとどろく大学において、
「Dr. Failure」という異名をとる男だ。

そんな「失敗博士」、山川恭弘教授の
本が10月16日に世に出た。

この本は、基本的にはストーリー形式
で話が進み、各章末に簡単なコメント
が付いていて、その章における学びの
ポイントを振り返ることができる、
そんなスタイルを取っている。

ストーリー形式でビジネスのエッセンス
を学ぶというのは、『もしドラ』や、
『夢をかなえるゾウ』など、多くの
人の心を掴んでいる。
やはり、ずっと文字を追い続けるのが
苦手な人は多く、それが真面目な論文
的内容になると読者は必然的に減る。
ストーリー形式にすることで数倍、
更にマンガ形式にすることでより一層
対象読者が増えていくという話を
聞いたことがある。

このストーリーが、しっかりプロの
脚本家も入って、様々な伏線を散りばめ
つつ、最後にすべてしっかり回収される
ので、読後感も爽やか。
起業物語なので、当然ながら最初は
主人公がダメダメ、失敗の連続だが、
恐らくは著者本人をモデルとする
「矢弦恭一」というメンターに導かれ、
人として、社会人としてグングン成長
していく様子につい引き込まれた。

本書の至る所で語られる「起業道」は、
勉強熱心な方であればどこかで読んだ、
あるいは聞いたと思う内容が多いと
思われる。
しかしながら、これまた本書で何度も
強調されている通り、知っているだけ
ではダメで「実行」「行動」してこそ
意味があるのだ。
そして、その実行、行動をしたことに
よって得られる「学び」を元にして、
また次の新たな実行、行動へと絶え間
なく動いていく。

特に印象的な内容や、今回初めて知った
言葉、しっかり頭に残しておきたい内容
などを、以下に箇条書きで備忘メモして
おきたい。

・いわゆるVUCAの頭文字を読み替える。
 Vision, Understanding, Clarity, Agility
 この4つが起業で大切。
・「何になりたい?」よりも「何の問題
 解決に従事したい?」と考える。
・新事業に取り組む行動様式には2種類:
 PredictionとCreactionがある。前者は
 「予測」、過去の延長から未来を類推。
 後者は、CreationとActionを併せた造語、
 創造 的に行動する、動きながら未来を
 創っていくということ。
・今の起業の世界では、「ビジネスプラン」
 は死語。A4一枚のロンチプランで十分。
・Effectuation=今あるものでとにかく何か
 始めて、そこに新しい資源を加えること
 で最適化、変化、進化させる。
・ROIになぞらえたROL(Return On Learning)
 が大切。失敗してOK、学びが大切。
・失敗を認める、語れる、共有できる、そう
 いう心理的安全性の高い環境が大切。
・起業場面ではフォロワーの役割が重要。
・ファンセオリー:楽しさが詰まった商品や
 サービスは売れる!

著者は、東京は虎ノ門にある
「ベンチャー・カフェ東京」
のExecutive Directorでもある。

本書に出て来る「カオス・カフェ」の
モデルがこのベンチャー・カフェである
ことは明らかであろう。
そして、そこで主人公を導いていく
矢弦恭一が、山川「Yazzle Dazzle」恭弘
本人をモデルにしていることも間違い
ない。
日本の大学生や、若手社会人には是非
とも読んで欲しい本だ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。