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リサーチに頼り過ぎない

ひと昔ほど前だと、
「マーケティング」と聞いたときに
「調査」「リサーチ」のことだと
勘違い
をしている人が、割と多く
いらっしゃいました。

会社の中に「マーケティング」という
部門がそもそもなかったり、
あってもその部門が消費者調査ばかり

やっているという会社が少なからず
あったからです。

しかし、「調査」「リサーチ」
あくまでも「マーケティング」の
ごく一部

独立した部門を作って、調査により
重点を置くことも可能ですし、
あえて調査は外部委託を原則として
マーケティング部門がそれをリード
することも可能です。

よほど大きな会社でない限り、
独立部門を作ることは少ないと
いうのが個人的な印象で、
マーケティング部門の一部だったり、
商品開発部門の一部だったり、
というのが定番でしょう。

菓子メーカーのブルボンは、
今年で創立百周年を迎える老舗。
そのブルボンで社長をお務めの
吉田康さんのインタビュー記事が
『致知』10月号に掲載されており、
拝読しました。

この中に、吉田さんが「エリーゼ」
開発したときの話が出てきます。

当時吉田さんは、大学で栄養科学を
学んだ後に入社し、製品開発を行う
技術部に配属されて、ウェハースの
新製品開発
を初任務として任された
ところだったとのこと。

当時は珍しかったであろう、
サクッとした歯触りのウェハースが
濃厚なチョコ&ホワイトクリームを
包み込む、あの「エリーゼ」
試作品を数ヶ月かけて完成させました。

勢い込んで各営業所長に報告するも、
想定価格が従来の商品の価格帯を
超えている
のを理由に、
「売れない」と皆が口を揃えたのだ
そうです。

しかし、どんなウルトラCを使ったか
詳しくは語られていませんが、
「エリーゼ」は何とか発売に漕ぎつけ、
食感の良さや包装の目新しさが評判を
呼び、あっという間に売れ始めました

この経験を以て、

こちらがお金を払って行う市場調査や、先輩の意見も、実際に商品を世に出して得た評価には敵わない。不特定多数の声の集積に頼らず、自分のストライクゾーンを堅持して仕事することの大切さを痛感しました。

このような実感を持たれたそうです。

商品開発の過程で、消費者の声を
しっかり反映
することは、失敗の
リスクを極小化しようという意図

よく行われること。

しかし、調査はあくまでも調査
現実に発売したときとはどうしても
条件を100%同じに揃えることは
ほぼ不可能
ですよね。

特に、今まで世の中になかったもの
売り出そうとするときなど、
消費者は知らないものを適正に評価
する術は持っていない
もの。

消費者調査を無視しろとは決して
言いませんが、頼り過ぎないことも
また大切
だと言えるのです。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。