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時間を売る

コロナ禍による緊急事態宣言で、
「3密を避ける」が合言葉となり、
飲食店をはじめとするリアル店舗は
全面的、部分的に休業を余儀なく
され、今もその余波が続いている。
理美容業界も、かなりその影響を
強く受けたのは間違いない。
多くの理髪店、美容院が、長らく
休業したり、部分的な営業にとど
まっていたのを見てきた。

コロナがあろうがなかろうが、
ステイホームだろうが外に出ようが、
生きている以上は髪も伸びる。
季節が進み、梅雨っぽいジメジメと
した気候になってきたこともあり、
髪でも切ってさっぱりしたい!
ずっと切ってなかったし!
という人がかなりの数いるのだと
思う。

ここ1週間ほど、ずっと行きつけの
QBハウスに行くチャンスを窺って
いるのだが、一向にチャンスが
訪れない。
通りかかるときはいつでも大行列
なのだ。

本当は、オシャレな美容室に通って
ますとでも言いたいところだが、
不必要に自分を飾っても仕方ない。
自分の最寄り駅にQBハウスができて
からというもの、ほぼ一択である。

何が良いって、時間がかからない。
QBハウスのウリは正にそこにあり、
髪を切るのに余計な手間や時間を
かけるのは勿体ないと思っている
私にとっては非常に都合が良い。
それがウリなのに、わざわざ30分も
1時間も並んでいては、メリットが
半減どころでは済まない。
早いところ、モッサリしてきたこの
髪をサッパリ短めにカットしたくて
うずうずしているものの、何かの
ついでに通りがかったときに、
ほぼ待ち時間なしで切るという
ところにこだわって、未だ果たせず
なのである。

小中学生の頃は、地元のいわゆる
床屋さん、理髪店で、3,000円とか
4,000円とか払って、1時間くらい
かけてカット、シャンプー、髭剃り
まで全部込みのサービスを受けて
いた。
当時は何の疑問もなく、親がそう
しているから自分もそうしていた。
高校生になってもほぼ同じ。
大学生になって、ようやく美容院
に浮気してみたり、なんてことも
あったように記憶している。

社会人になって早々、大前研一さんの
『企業参謀』を読んだことがあるの
だが、その中に彼の「髪を切ること」
に対する持論が書かれていて、とても
強いインパクトを受けた。

今は新装版になっているこの本は、
大前さんがマッキンゼーに入って、
わずか1年ほどの実務を経ながら
書き上げて世に問うた最初の著作。
ロジカルとはこういうことか、
トップコンサルタントとはこんなに
凄いのか、と彼我の差に圧倒された
思い出がある。

その大前さんが、髪を切る時間なんて
わずか10分もあればいい。
それを、一般の床屋や美容院はやたら
ムダに時間をかけている、自分が
受けたいサービスではない、
とバッサリ切り捨てていた。
(細かいところは記憶違いもあるかも)

時間密度が高い人の発想は凄いなぁ、
自分もそれに倣うべし、そんなことを
何となく思っていて、いざQBハウスが
世の中に登場してきたときには、
真っ先に通うようになったのだ。

QBハウスは、もちろんヘアカット
するサロンだから、
「何を売っているのですか?」
と問われたら、
「ヘアカットサービスです」
というのが普通の答えとなるの
だろう。

しかし、彼らは同時に
「お客様の貴重な時間の節約」
を売っているということも一面
では言えるのだ。

1,000円カットということで、
低価格がつい取り上げられがち
だったQBハウスだったが、
1,200円に値上げをしてからも
客足が大きく減ったようには
見えない。
時間節約の価値を評価する消費者
が着実に増えているのでは、
そんな気がするのである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。